フードピラミッドの変遷
- AKIKO SAKAI

- 4月14日
- 読了時間: 8分
令和の栄養学を深堀していこうと思っていたら、2026年1月にアメリカのフードピラミッドが改訂されたと知って先に見ておこうと思います。
「どんな食べ物をどれくらい食べたらいいよ~」を視覚的に示すフードピラミッドは、栄養学の変遷とともに変化してきています。
フードピラミッドができる前、1977年に発表されたマクガバンレポートは栄養の話に必ずと言っていいほど登場する有名なレポートです。
1970年代のアメリカでは、心疾患が死因第1位でした。

当時は遺伝性や加齢が原因だと思われていた心疾患は、5000ページにも及ぶ報告書にまとめられた研究結果によって「食生活の誤り<食現病>である」と結論付けられました。
脂質、砂糖、塩分、コレステロールの摂りすぎを厳しく警告し、肉中心の食生活から未精製の穀物、野菜、果物を中心とした食事を推奨しました。
ところが畜産業界や乳製品業界から猛烈な反発があり、また文章だけでは国民に浸透せず、紆余曲折の末に1992年、スウェーデンのフードピラミッドを参考に初代フードピラミッドが作られたのです。

特徴は、底辺に「パン、シリアル、ライス、パスタ」などの炭水化物を置き、一番上の頂点に「油脂、砂糖」を配置し、「脂肪を減らし、炭水化物をしっかり摂る」ことが健康の鍵であることを示しました。
このころは「低脂肪=健康」という考えが主流で、エネルギーの60%を炭水化物から脂質は30%以下と提言されました。
しかし「精製した穀物と全粒粉の区別がなく糖質過多になりやす」「植物性の油と動物性の脂の区別がついていない」といった問題点が指摘され、ひいては肥満や糖尿病へのリスクも懸念されました。
同時期、アメリカ国立癌研究所が中心となって、がん予防効果が期待できる約40種類の野菜や果物を3グループにリスト化してデザイナーズフードピラミッドを発表しました。
ネット検索では3段で描かれている図が見当たらず、またさまざまな意向に合わせて作った図も多く見受けられたので、ChatGPTにお願いして作図してもらいました(笑)

フードピラミッドは栄養面から摂取量の目安を示しているため底辺が多め推奨、頂点が少なめ推奨なのに対して、デザイナーズフードピラミッドは頂点に向かうほどがん予防に効果的な食材を示しているので、ちょっと混乱します💦
2005年には同じピラミッド型でも縦に区分したMy Pyramidが登場します。

特徴(改良点?)は食材を縦に区分けしたことと運動を強調したこと。
しかしこれも何をどれくらい食べたらいいのかがわかりにくいのが問題点でした。
続いて2011年に登場したのがMyPlate(左)です。
ハーバード大学では健康的な油、水分、適度な運動を加えたHEALTHY EATING PLATEを発表しました。

1枚のお皿に盛り付けるなら半分に野菜と果物、1/4に穀物、1/4にタンパク質ですよ~というMyPlate。
左下の絵のワンプレートディッシュ、バランスがいいイメージでしょうか?
MyPlateでは野菜と果物をもっと足さないといけないですね。
右下のとんかつは美味しそうですか?
MyPlateに従えば、とんかつは半分量、空いた分に穀物です。
付け合わせのキャベツを残したり、お茶碗のご飯を大盛にしたらMyPlateのメッセージは蕪になってしまいます。
プレート型になってイメージしやすくなったかもしれませんが、実生活に生かされているかというと疑問です。

日本では2005年に食事バランスガイドを発表しました。
どこかで必ず目にしたことがある駒形の絵です。

日本人にとって実生活に即した食生活の「主食、主菜、副菜」を基本にデザインされています。
すでに西洋型の食生活が一般的になっている日本人にはそんな感覚も古いでしょうか?
アメリカのフードピラミッド変遷でみてきたように、「主食の炭水化物は精製したものでもいいの?」「主菜は動物性?植物性?」「主菜より副菜の方が多く摂るようになっているけれど・・・」などなど、手を変え品(絵)を変えても健康維持や病気予防に寄与しているかというと疑問です。
そこで最新のフードピラミッド登場です。

これも一見すると「動物性の肉や乳製品はたくさん食べてもいいんですね?」といったメッセージにつながりやすく批判が出ているようですが、改訂の意図は冒頭の事務局長からのメッセージで読み解けます。
事務局長からのメッセージ
『アメリカ人のための食事ガイドライン 2025–2030』へようこそ
このガイドラインは、わが国の歴史上、連邦政府の栄養政策における最も重要な転換点となります。
そのメッセージはシンプルです。本物の食品を食べましょう。
「アメリカを再び健康にする」ためには、基本に立ち返らなければなりません。アメリカの各家庭は、タンパク質、乳製品、野菜、果物、健康的な脂質、全粒穀物といった、栄養価の高い「本物の食品」を基盤とした食事を最優先すべきです。精製炭水化物、添加糖、過剰なナトリウム、不健康な脂質、化学添加物を多く含む高度に加工された食品を劇的に減らすことと組み合わせることで、このアプローチは多くのアメリカ人の健康の行方を変えることができます。
米国は今、健康上の緊急事態に直面しています。医療費の90%近くが、慢性疾患を持つ人々の治療に費やされています。これらの病気の多くは遺伝的な宿命ではなく、いわゆる「標準的なアメリカ食(SAD)」の予測可能な結果です。この食生活は、時を経て高度に加工された食品への依存を深め、座りがちな生活様式と結びついてきました。
その結果は壊滅的です。米国の成人の70%以上が過体重または肥満です。12歳から17歳の米国の青少年の3人に1人近くが前糖尿病の状態にあります。 食事が原因となる慢性疾患により、現在、多くの若者が兵役適格者から外されており、国家の備えを損ない、機会と社会的上昇への歴史的な道を断たれています。
何十年にもわたり、連邦政府の政策は、予防ではなく、質の低い高度に加工された食品や医薬品による介入を促進してきました。この危機は、不適切な政策選択、不十分な栄養研究、そして連邦、州、地方、民間パートナー間の連携不足の結果です。
今日、その状況は変わります。
私たちは、本物の食料を栽培・生産するアメリカの農家、牧場主、企業を支援するため、食料システムを見直しています。そしてトランプ政権は、すべての家庭がそれを手頃な価格で手に入れられるよう取り組んでいます。
私たちは、本物の食品を再びアメリカ人の食生活の中心に据えます。体に栄養を与える本物の食品。健康を取り戻す本物の食品。エネルギーを供給し、活動や運動を促す本物の食品。強さを築く本物の食品です。
トランプ大統領のリーダーシップの下、私たちは連邦の食品・健康政策に常識、科学的誠実さ、説明責任を取り戻しています。そして、食品ピラミッドを再定義し、すべてのアメリカ人を教育し、養うという本来の目的に戻すのです。
本ガイドラインは、すべてのアメリカ人に対し、より多くの「本物の食品」を摂取するよう呼びかけています。また、農家、牧場主、医療従事者、保険会社、教育者、地域社会のリーダー、産業界、そしてあらゆるレベルの政府の立法者に対し、この極めて重要な取り組みに参加するよう求めています。
私たちが力を合わせれば、食システムを慢性疾患から遠ざけ、栄養密度、栄養補給、レジリエンス(回復力)、そして長期的な健康へと転換させることができます。
アメリカの未来は、私たちが何を育て、何を提供し、何を食べることを選ぶかにかかっています。
これこそが、「アメリカを再び健康な国にする」ための基盤です。
(詳細はパンフレットに書いてあります。)
世界情勢を不安定にしているトランプ大統領の「リーダーシップのもと」「トランプ政権が」どれくらい指導力を発揮できるのか知りませんが、「本物の食品」へと回帰することが健康のみならず医療、農業、産業、さまざまな分野に変化をもたらし「健康な国になる」という考えはもっともだと思います。
まったく同じことが日本にも当てはまります。
健康長寿を願うも晩年まで健康でいる人は少なく、生活習慣病は増える一方、薬で症状を抑えるだけの生活、国も個人も医療費が大きな負担になっています。
国の旗振りも大事ですが、ひとりひとりの意識変革の方が早くて確実だと思うんです。
【おまけ】
アメリカの死因推移でもうひとつ気になるところがあります。
がんや心疾患の死亡者数を一生懸命減らそうとしている一方で、アクシデントによる死亡数が増えています。
拡大すると「薬の過剰摂取などを含む毒物によるアクシデント」と書いてあります。
アメリカではOpioid Crisis、オピオイド危機と呼ばれ、鎮痛剤や麻酔薬などに使われるオピオイドの過剰投与、過剰摂取によって命を落とす事例が増えています。
医療現場というよりコントロールされていない界隈での摂取が横行しているということでしょうか。
有名人ではマイケル・ジャクソン、プリンス、ホイットニー・ヒューストンなどが思い浮かびます。
日本も他人事ではない国になってしまったのではないかと危惧します。








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