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ファイトケミカルのエピジェネティック制御

ファイトケミカルの働きをもう少し具体的に書いておきたいと思います。

ファイトケミカルの一般的な働きとして抗酸化作用や抗炎症作用が挙げられるのですが、どの働きも遺伝子制御を理解しておかないと片手落ちになりそうなので、まずエピジェネティク制御から始めてみます。

あくまでも素人の理解です💦


<エピジェネティク制御>

エピジェネティクスとは、遺伝子の塩基配列が変わらないまま、遺伝子発現や細胞の性質が変化する仕組みのことです。


かつて「遺伝子は絶対であり変化しないもの」でしたが、いまや遺伝子は「オン」「オフ」することで発生や分化、環境適応、がんや遺伝子疾患まで多くの生命現象に影響していることがわかっています。


例えば、体を構成している約40兆個もの細胞は一つの受精卵から心臓や脳、神経の細胞へと分化したわけですが、どの細胞にも同じ染色体が備わっています。

分化の過程でどの遺伝子を「オン」「オフ」するかによって、さまざまな種類の細胞が生まれるわけです。

エピジェネティクスは胎児の時だけでなく、同じ染色体を持って生まれた一卵性双生児が生活環境によって病気になるかならないかが変わることも明らかになっていますし、一生の間でどのような環境に置かれているかによって親から受け継いだ遺伝子の配列は変わらずとも発現が変わることはあるのです。



染色体や遺伝子とは何なのかを整理しておきます。




細胞の中にある核の中に染色体が収納されています。ヒトの染色体は46本、23対に分かれています。

22対の染色体は男女とも同じ「常染色体」、残りの1対が「性染色体」で男性はXY、女性はXXです。

染色体はDNAヒストンタンパクに巻きついてぎゅーーっとコンパクトにまとまったものです。

上図では、毛玉を解くように染色体を解いてみたらヒストンタンパクが並ぶクロマチン繊維が現れ、さらに解いていくとヒストンタンパクに巻き付いていたDNAが現れるように書いてあります。

DNAにはタンパク質(情報)をコードしている遺伝子部分と、していない部分に大きく分けられます。

現代の科学では、タンパク質をコードしていないDNAにも役割があることがわかってきています。


では分子レベルでのエピジェネティク制御はどのように行われているのでしょうか?

下図をみるとDNAやヒストンにメチル基やアセチル基がついています。

分子で言ったら小さな小さなメチル基やアセチル基ですが、これらは遺伝子につける目印のような役割を果たします。



メチル基がつくことをメチル化、アセチル基がつくことをアセチル化と呼び、それぞれはメチル化酵素、アセチル化酵素が付け外しをコントロールしています

メチル化はプロモーターやエンハンサー領域で転写因子の結合を阻害するので、遺伝子発現を抑制します。

逆にメチル基が外れる(脱メチル化)は遺伝子発現を促進します。


ヒストンのメチル化やアセチル化は、ギッチギチに巻き付いているクロマチン構造にわずかな隙間を与えることで転写の活性化/抑制に関与します。


近年、エピジェネティク制御に関係する栄養成分、栄養素代謝物、栄養シグナルなどの研究が論文発表されています。

全体像をイメージしやすい図を掲載している論文を引用してみます(日本語に書き換え)。



ファイトケミカルが、ヒストンのアセチル化/脱アセチル化を担う酵素やDNAのメチル化/脱メチル化を担う酵素に働きかけることで、異常なエピジェネティク変化と関連付けられているがん、心血管疾患、神経変性障害などの疾病リスクを下げるというお話です。


酸化ストレスや慢性炎症がさまざまな疾病リスクの大きな要因になっていることは常識になりました。

その根底にはエピジェネティック変化があり、十分な抗酸化効果や抗炎症効果が得られていないのでしょう。

You are what you eat.

よく耳にする言葉ですが、食べ物は染色体にまで影響するのだと認識する時代になりました。



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