ファイトケミカルの抗酸化作用
- AKIKO SAKAI

- 5月21日
- 読了時間: 4分
ではファイトケミカルの一丁目一番地、抗酸化作用について書いていきたいと思います。
ファイトケミカルは抗酸化物質として働くだけでなく、抗酸化酵素の産生を促進することで抗酸化力を支えているのです。
<抗酸化作用>
細胞にとって細胞膜、核内のDNA、ミトコンドリアなど重要なパーツが酸化する(錆びる)ことは大問題!酸化の原因となる活性酸素種を適切にコントロールしなければなりません。
「適切にコントロール」というのは、活性酸素はただの悪者ではなく必要なものでもあるからです。
免疫細胞の白血球は細菌やウイルスを除去するときに活性酸素を使いますし、ナチュラルキラー細胞もがん細胞や感染細胞の除去に活性酸素を使います。
細胞間の情報伝達、細胞の修復、分化、アポトーシス、遺伝子発現の調節などにも関与しています。
ただし、活性酸素が多すぎると酸化がストレスになり、細胞や血管にダメージを与え、動脈硬化やがん、糖尿病、免疫低下、老化などのリスクが高まります。

体はただ酸化されるがままではありません。
自ら抗酸化酵素を作る能力を持っています。
でも一般的に「酵素」の生成能力は年齢と共に衰えていきます。
体内・外の環境によっても抗酸化酵素の生成能力は変わります。

図の青字は代表的な活性酸素種です。
オレンジ色の枠内は抗酸化酵素です。
抗酸化酵素が得手不得手とする活性酸素があるのがわかります。
つまり活性酸素を適切にコントロールするには、抗酸化酵素だけではなく抗酸化作用をもつファイトケミカルが充分に存在することが不可欠ということです。
ファイトケミカルはどのようにして抗酸化物質として働くのでしょうか?
この図はフェノール化合物と活性酸素の関係を表した図です。

図の真ん中、フェノール環上のヒドロキシル基がフリーラジカルに水素原子を譲渡することでフリーラジカル側の不対電子がなくなります(黒い●がフリーラジカルからフェノール環へと移りました)。
この図はもっとも単純な例で、数千、数万あると言われているファイトケミカルの複雑な構造によって、抗酸化能が変わります。
言い換えれば、多種多様な構造があるからこそ様々な場面で抗酸化能を発揮してくれるのです。
次に、ファイトケミカルが抗酸化酵素の産生を促進する働きについてみてみます。
抗酸化作用の話題で必ず出てくるのがNrf2というタンパク質です。
Nrf2は、細胞がストレスに対抗するために必要な遺伝子群をオンにする転写因子で、抗酸化、解毒、代謝、修復、防御など200以上もの遺伝子を制御する司令塔の役割を果たします。
同じ論文からもうひとつ図をみてみましょう(研究材料はコメに含まれるオリザノール)。

構造の左端(1)は上図でみたフェノール環とフリーラジカルの関係です。
オリザノールはフリーラジカル消去剤として働きます。
そして構造(2)の求電子性によってNrf2に結合しているKeap1を引き寄せ、Keap1と離れたNrf2は核へと移動できるようになり、転写因子としてさまざまな遺伝子を活性化していきます。
このように、多くのファイトケミカルは直接的なフリーラジカル消去剤として働くだけでなく、Nrf2を介した遺伝子制御に働きかけることができるのです。
気になる論文
・Nutrients. 2018 Nov 1;10(11):1605. Redox Homeostasis and Natural Dietary Compounds: Focusing on Antioxidants of Rice (Oryza sativa L.)
・Plant Foods Hum Nutr. 2019 Jun 18;74(3):255–265. Aloe vera (L.) Webb.: Natural Sources of Antioxidants – A Review
・Acta Biochim Biophys Sin (Shanghai). 2022 Dec 19;55(1):11–22 Phytochemical activators of Nrf2: a review of therapeutic strategies in diabetes
・Molecular Aspects of Medicine Volume 32, Issues 4–6, August–December 2011, Pages 234-246 Oxidative stress in health and disease: The therapeutic potential of Nrf2 activation
・Free Radic Biol Med. Author manuscript; available in PMC: 2015 Jan 8. Regulation of Nrf2 – An update
・Cell Commun Signal. 2023 May 1;21:89. Phenolic compounds as Nrf2 inhibitors: potential applications in cancer therapy
・Int J Mol Sci. 2023 Feb 13;24(4):3748. Natural Products as Modulators of Nrf2 Signaling Pathway in Neuroprotection
・Molecules. 2021 Feb 15;26(4):1016. Food-Derived Pharmacological Modulators of the Nrf2/ARE Pathway: Their Role in the Treatment of Diseases







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