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がん克服のカギ

2026年5月2日放送の知的探求フロンティア タモリ・山中伸弥の!?『がん克服のカギ』を見て、まだまだ知らないことがたくさんあると思い知らされたのでブログに残しておきます。

※挿入図はPC画面を写メしたものです。ブログ用資料としてだけ使わせてください。


<克服のカギ① 有酸素運動>

ASCO(米国臨床腫瘍学会)で発表された、大腸がん患者889人を2グループに分けて追跡調査した結果。

一方のグループは運動や生活習慣の指導のみ、もう一方には『あること』を実践してもらったところ、5年生存率が6.4%、10年生存率が約30%の差をもたらしました。



(残念ながらタダでは読めず)


この『あること』とは、Structured excercise program有酸素運動のことです。



被験者たちは手術と抗がん剤治療を行った上でStructured excercise programを実践したわけですが、これをやることによって新たながんの発生も減ることがわかりました。

前立腺がんや乳がんになる人が少なかったのです。

有酸素運動とは軽く汗をかき呼吸が少し荒くなる程度の運動で治療と併用する治療ですが、予防にも効果が期待できる運動プログラムです。

欧米では2026年1月から、大腸がん術後の運動プログラムとしてガイドラインで推奨されているそうです。


ではなぜ運動するとがんの増殖が抑えられるのでしょうか?

それは運動をするとがんが取り込む糖の量が少なくなったからでした!



がんは正常細胞と比べて多い場合は20倍以上の糖を使うのだそうです。

がん細胞が糖を大量に取り込む性質はおよそ100年前にオットー・ワールブルグによって発見されていて「ワールブルク効果」として知られています。(ノーベル賞受賞)


「じゃあ糖を減らして兵糧攻めにすればいい?」と思うかもしれないが、がんは糖が足りなくてもタンパク質から糖を合成できるので成果が上がらなかったんです。

100年かかってたどりついたのは、意外と簡単な運動でした😄 ではどれくらいの運動をしたらいいのでしょうか?

週10メッツを目標に!

メッツとは運動の強度と時間で表されるもので、例えば下記の1コマが1メッツになります。


番組では30分くらいの散歩を週4回と週末にジョギングを1回とか、週5日の自転車通勤とか、週末に登山やテニスを楽しむなどで10メッツ達成できますと言っていました。


<がん克服のカギ② がんの真の姿>

がんの「真の姿」が少しずつわかってきています。

ひとつは、死の直前になると血液中のがん細胞が急速に増加するという事実!

大腸がん、すい臓がん、肝臓がんなどの患者さんを追跡して、死後すぐに解剖して血液中のがん細胞を調べた結果、死亡日の3日前にくらべて死亡日には1000倍近くに細胞数が増加していたんです!


論文はたぶんこれ⇓



血栓を調べてみるとその中にはがん細胞がたくさんありました。

がん細胞が増えて血栓を形成し、血液が流れなくなって臓器が働かなくなり死に至る、という構図が見えてきました。


臨床の現場ではがん患者で脳梗塞や心筋梗塞などが起こっていることはわかっていましたが、死の直後にサンプリングするという難しい研究をやったことで詳細がわかってきました。

じつに9割の患者で血栓ができていたことがわかっています。


将来、血液中のがん細胞やがん細胞から分泌される遺伝子などを調べて検査や治療につなげようという研究も進んでいるそうです。


もう一つは、がん細胞そのものではなくて周りの正常(善玉)細胞が悪玉細胞に変わってがん細胞を助けているという事実!



(左)がん細胞の分泌物が周りの正常な線維芽細胞に影響を与える

(中央)正常な線維芽細胞ががんに協力する悪玉線維芽細胞に変化する

(右)悪玉線維芽細胞は免疫細胞や抗がん剤をブロックし、がん細胞の増殖を助ける


がんが周りの細胞を味方に引き入れるのであれば、悪玉線維芽細胞を善玉に戻してやればいいのではないかという発想の転換で導き出されたのが合成レチノイド



茶色の粒々が善玉線維芽細胞。

投与前に比べて投与後は善玉が増えている。


レチノイドはビタミンAの一種で、今まではがん細胞の性質を変える研究に使われていましたが、がん細胞ではなくがんの周りの細胞の性質を変えるという視点が大きく変わった研究。


論文はたぶんこれ⇓

がん細胞を標的にする研究だけでなく、免疫や線維芽細胞を標的とする研究に広がってきています。 ノーベル賞生理学医学賞を受賞した本庶佑先生の「PD-1の発見と免疫チェックポイント阻害を応用したがん治療の研究」も免疫細胞側にアプローチした研究でしたね。


<がん克服のカギ③ がんリハビリ>

がんになる確率は男性63.3%、女性50.8%! 自分ががんになって治療しなければならない立場になる確率はかなり高い。。。

一般的にはがん治療は患者だけでなく家族含めて負担が大きいですよね。。。


そこで注目されているのが「がんリハビリ

今までは「安静にしていなければならない」だったのが「安静にしていたらダメ」という時代になったと実践しているのは広島大学病院のリハビリテーション科。


治療後のリハビリはもとより、治療前リハビリを行うことで1年後生存率が10%アップしました。

これは治療前に身体機能を底上げしておくことで治療で落ちた身体機能の回復につながるということです。




治療前のがんリハビリは数年前から広まり始めていて、言うなれば「体力の貯金」

がんリハビリを行うことで入院期間の短縮や合併症のリスク低下、回復が早いと科学的に裏付けられてきました。

がん標準治療をやるには一定の体力が必要なので、がんリハビリは第4の治療として治療の柱になっていくのではないでしょうか。

リハビリは自分からやれる唯一の治療です!


関連していると思われる論文⇓


<がん克服のカギ④ 休眠がん細胞>

2025年、驚くべき研究結果が発表されました。

新型コロナウイルス陽性だった人はがんの進行が大幅に早まることが明らかになったのです。

驚くのは影響の大きさ!

感染していると診断されてから1年から2年以内にがんの再発や悪化のリスクが大幅に増加したのです。

死亡リスクは最大8倍にまで増加していました。



注目すべきは休眠がん細胞

休眠がん細胞とは活動を停止して増殖しない状態のがん細胞のことで、患者の体内で長い間眠っているので症状が現れないのです。

でも、インフルエンザや新型コロナウイルスなどに感染すると、休眠細胞が目覚めるらしい⁉



感染すると免疫細胞からIL-6が分泌されて免疫系が活性化します。

このIL-6が休眠がん細胞を活性化する、つまり眠っていたがん細胞が目覚めてしまうのです。

ロンドン大学がん研究所のルカ・マニャーニ博士は、休眠状態と覚醒状態のがん細胞の視覚化に成功しました。



(左)赤が休眠がん細胞、緑が覚醒したがん細胞

(右)がん細胞が覚醒から休眠へと変わっていく


これを示した論文は見つけられなかったのですが「休眠がん細胞」に関する研究はかなり行われていることがわかりました(勉強不足💦)

がん細胞周辺で悪玉になった線維芽細胞が合成レチノイドによって正常に戻る、といった単純なメカニズムで覚醒から休眠になればいいのですが、休眠と覚醒には細胞を取り巻くさまざまな条件があるようです。

またひとつ、調べてみたいテーマができてしまいました😅


ここから探っていこうかな?と思う論文⇓


<がん克服のカギ⑤ 遺伝子変異は宿命だが習慣は逆転を生む>

正常細胞の遺伝子に変異が生じるとがん細胞になる、正常か異常かの2択だと考えられてきました。

言い換えれば、正常細胞ではがんの遺伝子変異は起こっていないと考えられていたのですが、50代の健康な人のまぶたの皮膚を調べたところ3分の1の細胞にがんの遺伝子変異が見つかったのです。



(左)皮膚片の細胞を模式化したもの。さまざまな変異をもつ細胞がパッチワークのようになる

(右)正常か異常かの2択ではなく、正常細胞の中にもがん遺伝子変異をもつものが多く存在する



正常な食道の細胞でもがんの遺伝子変異は見つかりました。

70代ではがんの遺伝子変異が7割を占めるケースも💦

これをさかのぼり系統樹解析すると。。。



直近の遺伝子変異は53歳のときに起こっていますが、その前にも何回か起こっており、もっとも古いものは13歳のときに既に変異が起こっていました。



こちらは81歳男性の場合。

驚くことに最初の変異は2歳の時に起こっていたのです。


私たちの細胞はたった1個の受精卵から40兆個にまで細胞分裂していきます。

完璧に遺伝子をコピーできると考える方が無理なのであって、がんの遺伝子変異をもった細胞が生まれてくるのは必然なんです。

成長していく加齢していく過程でがんになる細胞が生まれてくるのは宿命なんです。


たぶん関係する論文はこちら⇓



では、がんの遺伝子変異を持つ正常細胞が増えるとどうなるのでしょうか?



①緑色のがん遺伝子変異をもつ正常細胞が含まれる細胞群を増やしていくと

②他のがん遺伝子変異をもつ紫、青、オレンジ、濃緑などの細胞も増えてきて

③緑色の細胞は紫や青の細胞に負けていき

④ほとんど別の遺伝子変異をもつ細胞に置き換わった、さらに新しい黄色の細胞が増えてきた


このように、がんの遺伝子変異をもつ細胞は増殖力が強く生き残りやすく、より環境に適応したものが生き残っていきます


では、いつ、どのようにがんの遺伝子変異をもった正常細胞ががん細胞へと変化していくのでしょうか?

TRACER xという画期的なプロジェクトによってその変化が明らかになってきました。



肺がん手術後の約800人を5年以上追跡することで、がんがどのように変化していくのかが見えてきました。






同じがんから取り出したがん細胞の遺伝子を解析すると、6つが6つとも異なる遺伝子変異を持っていて、変異の起源をたどると元はひとつの細胞から進化したことがわかりました。


これが「がんの進化

調べたすべてのがんで「がんの進化」が起こっていて、これは驚くほど多様ながんを生み出します

同じがんは存在せず、この進化によって免疫から逃れたり抗がん剤に対する耐性を獲得したりします


受精卵から分裂を繰り返す過程で、やがてがん細胞が生まれ、がん細胞も進化を繰り返していきます。

がん細胞が生まれるのは生存競争を生き抜いた結果とも言えるのです。

チャールズ・ダーウィン曰く「生存に有利なものが生き残り、子孫を残す」

がんが存在するのは、進化を支配するルールがあるからです。


体にはがんの遺伝子変異をもっている細胞が数百億とも数千億ともあると言われています。

そして加齢とともに蓄積していきます。

もう、これは宿命です。

2歳から変異を獲得した例どころではなく、受精して数週間後に変異が起こることもあります。

それが70年経って白血病を発症するということもあるのです。


<最後に朗報!> 喫煙はがん罹患率のリスクを上げますが、数年間禁煙するとがん遺伝子変異を持つ細胞の割合が減ることがわかってきました。




変異の蓄積は一方通行だと思われていたけれど、生活習慣を変えることで逆転できるのです!

運命を変えることができる!

欧米では禁煙を徹底することで、肺がんは減少傾向になりました。


☆環境を変える、習慣を変える、運動をする

☆私たちの40兆個の細胞はある意味生態系であって、生態系を大切にすることで変異の少ない細胞が増える

☆がん細胞が1個2個あったからといってがんになることはないから恐れる必要はないが、どの細胞ががんになって、どの細胞はならないかがまだわからない

☆遺伝子が変わるということは進化の本質であり宿命で、がんの進化が治療を難しくしている

☆がん細胞が膨大な数になる前に、予防や早期発見が重要

☆がんは早期に発見すればほとんどは治る、進行がんは厄介


<がん克服への道のり>

✅がんは私たちを殺そうとしているのではなく環境に適応しているだけです

もし体内の環境を変えることができれば、悪性から良性に変えられるかもしれません


✅がん細胞を眠らせることができれば多くのがんは慢性的な病気になり症状がなくなるかもしれません。自分が休眠状態のがん細胞を持っているかどうかわかるようになるかもしれないし、がんが目覚めるのを防ぎ再発を防ぐこともできるようになれば、がん治療の最大の成果になります


✅がんはいろいろな細胞からなる社会なので、がん細胞を取り巻く他の細胞の性格や性質をうまく改変することで、がん細胞の悪性度を低いものに変えておとなしくしていてもらうことができるかもしれません

がんの環境を理解することで新しい薬の開発につながるのではないでしょうか


✅今までは「出る杭は打つ」戦略だったけれど、「環境によって悪くなるのであれば環境によってを良くすることもできる」



<番組をみて>

がん研究は広く深く行われていることがよくわかりました。

もっともっと知っておかなければならないことがたくさんありましたが、患者になる可能性のあるすべての人にとって、自分でできることは「環境を良くして予防につなげる」ということでしょうか。

環境が悪くなる要素ばかりに囲まれている現代人は日々ひとつひとつの要素に意識を持たないとダメですね💦













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