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がんを考える⑥

前回は、がん細胞の社会を実社会に照らし合わせてみました。


① ひとりひとり(細胞ひとつひとつ

② 集団形成(がんへの成長過程

③ その集団を取り巻く地域社会(細胞間マトリックス、免疫システム

①から③にかけて規模が大きくなっていきます。

関係者が多くなればなるほど対策は複雑になります。

予防や治癒を考えるならまず①からだということです。


細胞にはアポトーシスという自ら死ぬ装置が備わっています。

このシステムは、細胞が健康な状態を保つための基本機能です。

細胞が傷ついたり病気になったとき、そのまま体の中に存在し続けることがないように遺伝子に組み込まれている機能です。


正常な細胞ががん細胞へと悪化していくには

1.がん遺伝子が変異して活性化する

なおかつ

2.がん抑制遺伝子が変異してがん化を止められなくなる

両方が起こらないと成立しません。


がん抑制遺伝子が正常に働いている限り、細胞死/DNA修復/細胞増殖抑制が働き、がん化への道は進みません。

アポトーシスが正常に働く生活を毎日送ることは、がん化を未然に防ぐ最初のステップであり、強力な予防法なのです。

とはいっても、日本のがん罹患率、そして死亡率をみると、決してがん化を未然に防ぐことは簡単ではないようです。

染色体全体の約2%しかない遺伝子の中の、さらにがん遺伝子とがん抑制遺伝子の両方に変異が起こる確率は計算上さほど高くないと言われているにもかかわらずです。


がん化した細胞が増えていったとき、もう成す術はないのでしょうか?

次回は②集団形成(がんへの成長過程)からがん予防の可能性を探りたいと思います。

 
 
 

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