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BS1スペシャル「山中伸弥が聞く 新型コロナ 〜3人の科学者+1人の医師との対話〜」④

4回目の注目点は

① パンデミックは必ず今後も起こる!

② のど元過ぎればではなく「3密」「行動変容」など生活スタイルを見直す

③ 物資の供給を国産でも可能にする


この番組を見て、色々と考えさせられることがありました。

今回のパンデミックを経験して、新薬、ワクチン、医療器具&機器の国産化など、国を挙げて対策すべき課題が見えてきました。


と同時に、国や専門家に任せるだけでなく、一人一人ができることもたくさんあります。

自然免疫を強くしていれば、ただ闇雲に怖がることはないと確信しました。



ナレーション:困難な状況が長く続いていくように見える中、感染収束のシナリオを第一線の専門家たちはどう描いているのでしょうか。

山中先生:なんとかこの新型コロナウイルスの状況を収束させて、ぜひ来年の夏はオリンピックを開催したいわけですけれど、私の考えでは収束させるためには、たくさんの人が感染していわゆる集団免疫の状態になるか、ワクチンがものすごいいいのが出来てみんなに行き渡るか、治療薬で感染してもそこまで重症になる人はいないと。まあ、普通のインフルエンザと同程度くらいの怖さになれば。インフルエンザでオリンピック中止にはならないですから…という3つくらいがあるかなと思うんですが。それぞれの先生の今の見通しというか、どのパターンで私たちは収束できそうかというのを、大曲先生、ちょっと非常に難しい質問かもしれないですが。

大曲先生:いやあ…本当に難しいですね。正直、分からないと思っています。思いつく限りにお話しをさせていただきますと、この病気で集団免疫といわれるものが出来上がっていくのかどうかがちょっとイメージがつかないところが正直あります。仮に、その集団免疫なるものができない、あるいはすぐに出来ないという時には、一つやれるのは社会としての介入でスマートな方法を見出すというのも考え方かなと思います。今「3密」っていう言葉が本当に根づきましたけれど、要はいわゆるこの感染症が起こりやすいリスクのある場というものを見出した…非常にきれいに見出した考え方だと思っていて、あれはすごくすばらしいと思っています。あるいは、マスクをするということも最近すごくいわれます。僕自身も日本人あるいはアジアの方々が普段の生活からマスクをするということ自体は、意味が自分の腹の中では全然落ちてこなくて分からなかったんですけれど、でもこの感染症のことがよく分かってくると、少なくともこのコロナウイルス感染症についていえば、人に移さないという意味では普段からのマスク着用「ユニバーサルマスキング」なんて英語では言われてますけれど、意味があるなと思いましたし、例えば社会規範にしてはどうかということもありますし、あるいはそこにおける洗練されたリスクを下げるやり方っていうものが見えてくれば流行がパシッと抑えられていけばですね、開催できるチャンスも見えてくるのではないかと。

山中先生:私もいわゆる「行動変容」は絶対に必要だというふうに思っています。

宮坂先生:これ、山中先生がいつもおっしゃってることですけれど、検査体制をきちんとしてしまわないと、逆に言えばこの検査体制をしっかりすると感染者の検出というのは容易になるわけですから、流行を早めに抑えるということも可能になりますので、日本でどれだけ早く整備できるかということも、第二波第三波で苦しむかどうなのかに関わってきますので、来年はどうなのか。

山中先生:検査の問題は、私もいろいろ調べていまして、ワシントン大学の人が言ってたのは「実はPCRはもっとできるんだ」と、「全自動の機械があるから」。彼らの律速段階(遅い段階)になっているのは鼻咽頭から採取するための綿棒が無い。それがないからキャパシティーの半分しか検査ができていないって言ってました。大曲先生、いろんなものが足りないと思うんですが、鼻咽頭から採るための綿棒、あれはまだ足りていますでしょうか?

大曲先生:先生、不足しています。医療機関によっては綿棒が足りないのでPCRが進まないという所は確かにあります。僕もこういう状況の場合、あれが不足するなんて事態を想像できなかったんですが。

山中先生:まあ、あれこそ日本のいろんな中小企業も含めて作ってくれるところがあると思いますから、ぜひこの番組を見られた誰か作っていただけたらと思います…本当に。

大曲先生:もう本当に、心からそう思います。

山中先生:あとは唾液ですね。かなり状況を改善できると思いますし、全自動の機械も日本の得意技だと思いますから、いろんな会社がぜひ作って、半年かかってもいいと思うんで。半年後、まだまだいりますから。今からでも全然遅くないので国産のものを、PCRの機械も、綿棒もN95(医療用マスク)も医療用防護服もですけれど国産でぜひお願いしたいと思っています。

宮坂先生:あと抗原検査もそうですね。抗原検査はPCRに代わるほど感度がいいものができれば、ある程度代わるくらいの能力を持つと思うんです。総合的なことが非常に大事で、ワクチンも特効薬も欲しい、行動変容も必要、と同時にシステムとして検査体制を整備する、ここがうまくいくとこの病気には十分に対応できるようになって、インフルエンザ以上の病気にはならないんではないかというふうに期待しています。

大曲先生:かなり治療の計画、戦略の組み立ては複雑だと思っています。ただ、治療としてアクセスできるポイントが抗ウイルス効果だけじゃなくていろいろとあると思います。それらのうち、どれをどういう形でおさえていけばいいのか、あるいはタイミングとかですね、そこはやっぱりちゃんと解きほぐしてやっていって、なんとか亡くなる方を減らしていく、重くなる方を減らしていくっていうふうに、つなげられていけばいいなとは思っています。

宮坂先生:ともかく、科学的にきちんとしたアプローチで攻めていけば必ず薬は見つかる、ただし、その候補はたくさん挙がってきても検定をするのに非常に時間がかかる。でも私は必ず見つかってくると思います。

河岡先生:いわゆるヒトに感冒(普通の風邪)を起こすウイルスもずっと前に他の動物からヒトに入ってきた。そのときにはひょっとしたら今回のような流行を起こしたのかもしれません。インフルエンザでもそうですし、今回のコロナウイルスでもそうですけれど、パンデミックは必ず起こるということを、今回の新型コロナは証明していると思うんです。

朝長先生:私も同じ意見でして、やはり今後も我々は注意していかなきゃいけない。パンデミックは必ず今後も起こっていくと考えています。

山中先生:まずは今回の新型コロナウイルスを何とかして抑え込む必要がありますが、そのあとが非常に大切というか、喉元過ぎればではなく、きちっと次のパンデミックに備えた対策、次いつ起こるか分からないんですけれども、次への備えが大切になるということですね。


終わり。

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