訓練免疫
- AKIKO SAKAI
- 2020年4月13日
- 読了時間: 2分
BCGワクチン接種した人は新型コロナウイルスに対して耐性があるのではないか?という記事がいくつか出ています。
興味深い内容があったのでピックアップしてみます。
BCGワクチン接種すると、結核菌だけでなく他の疾患にも効果を示す「オフターゲット効果」があるのではないかと。
出典(https://www.pnas.org/content/pnas/109/43/17537.full.pdf)を読むと、BCGワクチン接種によって、IFNγが増えることに加え、マクロファージや樹状細胞などに分化する単球が活性化するそうだ。
マクロファージ上の受容体NOD2を介してエピゲノムが起こるらしい。
エピゲノムとは、遺伝子配列を変えるのではなく修飾することで発現が変わること。

マクロファージや樹状細胞にはパターン認識受容体が5種類あって、病原体ひとつひとつ認識するのではなく、特定のグループの病原体に共通した分子や構造を認識することで外敵を感知する。
NOD様受容体はそのうちのひとつ。
一般的には細胞内寄生細菌を認識するとされている。
ちなみに結核菌はC型レクチン受容体によって認識されるとされている。
エピジェネティクスが起こることで、サイトカインや増殖因子などが分泌しやすい状態にスイッチが変わるらしい。
つまり、自然免疫が働きやすいように訓練された状態になる。
自然免疫には獲得免疫のような記憶がないと思われていたけれど、どうも抵抗力は上がるようだ。
ただし、獲得免疫に比べて記憶の寿命は短く、特異性も低いようなので(https://science.sciencemag.org/content/352/6284/aaf1098)、ワクチン接種率が異常に高い日本人であっても過信してはならないだろう。
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