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​アセマンナン

​アセマンナンとは?

アセマンナンとは、マンノース(Mannose)を豊富に含む「ポリマンノース多糖体」です。

ところどころアセチル化(Acetyl化)していることから、アセマンナン(Acemannan)と命名されました。

アセマンナン.png

アセマンナンは、アロエベラのゲル(柔組織・柔細胞)の白色体で作られ、マンノースが長く連なった多糖体になります。

白色体で作られたその他の多糖体も併せて液状ゲルの主成分になります。

アセマンナンはゲル全体の約20%しか含まれていませんが(約80%がその他の多糖体)、それでもアロエベラはアセマンナンを豊富に含む唯一の植物です。

グラフィックス2.png

柔組織全体に存在する単糖は全部で8種類、これだけ多くの単糖を含む植物も稀です。

グラフィックス3.png

1984年、世界で初めて単離精製、構造が決定されました。

アセマンナンの有効性は、食品医薬品局と米国農務省によって精査され、いくつかの適応症が認められたものの、人間用医薬品への許可は下りませんでした。

理由は、有効性は認められるものの、自然界に存在する天然物であることと、毒性が全くないことでした。

[認可された適応症]

1.  局所塗布用アセマンナンヒドロゲル (ヒト&動物用)

2. 注射用ワクチンアジュバント (鶏、七面鳥のマレック病予防)

3. 繊維肉腫 (犬猫用)

しかし、発見から40年近く経ったいまでも、アセマンナンの研究は続いています。

免疫調節活性、抗がん活性、抗酸化活性、胃腸(プレバイオティクス)

神経保護活性(認知、記憶)、肝保護効果、口腔内効果、傷の治癒など、古来から使われ続けているアロエベラの薬効は、アセマンナンによるものであることは疑いようがありません。

アセマンナン論文表題.png

アセマンナンの研究をまとめたレビューです(PDFファイル)。

​個人的な利用のために和訳しました(PDFファイル)。

​消化・吸収・分布

アセマンナンのような植物由来の多糖体は、ほとんどがβグリコシド結合(β結合)という結合様式で糖と糖がつながっています。

ヒトは、デンプンのようなαグリコシド結合(α結合)の多糖体を分解する酵素は作れますが、β結合を分解する酵素は作れません。

そこでヒトは、腸内細菌のチカラを借りて植物由来の多糖体を分解します

アセマンナンは消化後、約18%が構造や機能に使われ、約80%が短鎖脂肪酸になります

体外へ排出される割合はたった2%ほどであることから、非常に効率的に使われることがわかります。

食物繊維消化.png

小腸で単糖やオリゴ糖に分解・吸収されたアセマンナンは、2段階で全身に分布します。

①小腸から血流へ

腸上皮細胞にはナトリウム依存性マンノース特異的輸送システムがあります。

名前の通り、マンノース単糖やオリゴ糖を小腸から体内側へと輸送するポンプで、内側に送られた糖は血流に取り込まれていきます。

アセマンナンを経口摂取した場合、用量依存的に血中マンノース濃度が上がります

血中マンノース濃度は、生涯を通じてほぼ一定に保たれていることから、速やかに全身へ吸収されることがわかります。

②血流から全身へ

血中のマンノース単糖やオリゴ糖は、マンノース特異的ポンプを介して細胞に取り込まれます。

血中に50~100倍濃度のグルコースが存在していても選択的にマンノースを輸送することができます。

マンノース吸収分布.png

大部分はまず肝臓へ送られ(脾臓、腎臓、心臓、胸腺、脳にも送られる)、糖タンパク質合成に必要な前駆体(GDP-マンノース)になり、再び血中に放出されて各細胞に取り込まれていきます。

線維芽細胞マクロファージなどの細胞も、マンノース特異的輸送体を使ってマンノース単糖やオリゴ糖を取り込みます。

体は、糖たんぱく質合成に必要なマンノースの約75%を食物源から得ることができます

働き/プレバイオティクス

摂取したアセマンナンの約80%は、短鎖脂肪酸と腸内細菌のエネルギー(ATP)に変換されます。

代表的な短鎖脂肪酸は、酢酸プロピオン酸酪酸です。

酪酸は大腸上皮細胞が必要とするエネルギーの約70%を供給し、細胞増殖を刺激します。

充分な酪酸を生産できないことと潰瘍性大腸炎の関係が示唆されています。

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働き/糖タンパク質形成

タンパク質に糖鎖が結合した糖タンパク質は、それぞれの組み合わせによって無数の多様性を持ち、体内の情報伝達を担う重要な分子です。

糖タンパク質にはN結合型とO結合型があり、N結合型はマンノース含量によって高マンノース型、ハイブリッド型、複合型に分類されていることからも、マンノースの重要性がわかります。

マンノースを豊富に含むアセマンナンは理想的な供給源です。

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働き/免疫調節

アセマンナンの免疫調節作用は、免疫細胞の一種マクロファージを活性化することに起因します。

免疫系には、細菌などの外来抗原を認識し貪食してマクロファージが活性化する自然免疫と、樹状細胞が情報を伝えて抗体産生や外来抗原の記憶などを伴う獲得免疫があります。

どちらの細胞も情報伝達物質を産生して免疫系全体をコントロールします

免疫サイクル.png

マクロファージの細胞表面にあるマンノース受容体は、マンノース、フコース、Nーアセチルグルコサミンの単糖や、これらを糖鎖の先端部分(末端)に持つ糖タンパク質を認識し、結合します。

マンノース受容体は、リンパ管内皮細胞、肝内皮細胞、成熟樹状細胞などの抗原提示細胞にも見られます。

細菌や真菌、ウイルス、がん細胞などでは、これらの糖が糖鎖の先端部分にあることが多く(正常なヒト細胞では別の糖で構成されている)、マクロファージは外来抗原と認識して結合、貪食し、活性化します。

​同様にマンノースを認識するものとして、肝臓で作られる血漿タンパク質のマンノース結合レクチンがあります。

血液中に存在し、マクロファージや抗体を補助する免疫システム(補体系)を活性化します。

マンノース受容体.png

このように、糖配列を外来抗原と認識するシステムは、免疫系を確立する上で基本となっています。

植物由来の、特にアセマンナンのようなマンノースを多く含む多糖体は、外来抗原と同じメカニズムを使って免疫系を活性化することができます。

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