心豊かなアロガライフを目指して
アロガの扉
マカナリー博士の軌跡
20世紀の発見「アセマンナン」
ビル・マカナリー博士は、薬理学と毒性学の博士です。
熱を出した時、やけどをした時、なんにでも使うアロエベラの働きに興味を持ち、その源を突き止めれば薬になるのではないかと考えました。
1980年代半ば、博士はとうとうアロエベラの本体を突き止めます。
それはアセマンナンと命名したマンノース多糖体でした。
博士はアセマンナンの構造を決定し、免疫細胞を活性化するという働きを明らかにし、アセマンナン関連を含む300を超える特許を取得しました。

アセマンナンが免疫系に働きかけることは明らかでしたし、毒性も全くありません。
しかし、毒性が全くないことからヒトの薬としては認められませんでした。
そこで博士は、サプリメントとして開発することにしました。
アセマンナンは、体の働きを無理矢理強めたり弱めたりするのではなく、良い状態に調整する栄養だと考えたのです。

ちょうどその頃、糖鎖の研究が急速に進んでいました。
糖鎖は糖が鎖状につながったもので、細胞表面のタンパク質や脂質と結びついて細胞の外側に産毛のように出ています。
細胞は、糖鎖を使って自分の情報を相手に伝え、また糖鎖を使って相手の情報を受け取り、細胞同士のコミュニケーションをはかります。
体を構成している約37兆個の細胞が正確に情報を伝え合うことは、健康を維持する上で非常に重要な働きです。
博士は糖鎖を構成する糖を「糖質栄養素」と呼び、新しい栄養概念を打ち立てました。
21世紀の挑戦「アポトーシス」
博士は常に「細胞が健康なら体は健康になる」と考えています。
しかし、細胞レベルの健康を叶えるためには、まだ不十分だと感じていました。
細胞同士の情報伝達だけでなく、細胞内の情報伝達が不可欠だからです。
「(遺伝子に)プログラムされた細胞死」とも呼ばれるアポトーシスの現象をテーマにした研究が、2002年にノーベル賞医学・生理学賞を受賞しました。
博士は、アポトーシスが細胞の健康に必須の基本機能だということに気づきます。

アポトーシスは、古くなった(寿命)細胞や不用になった細胞、不健康な細胞が除去される仕組みです。
細胞が除かれた後には、新しい細胞が生まれます。
細胞がきちんとした死を迎えないと問題が起こることもわかってきました。
21世紀は遺伝子研究の時代、栄養学も遺伝子に働きかける栄養へと発展しています!
アロガは細胞が自ら健康になる仕組みをサポートすることで、真の健康へと導きます。

《動画》ビル・マカナリー博士の研究の足跡とアロガ製品について
メルマガ 2023年 (146号~168号)
【146号】 2023-1-1
あけましておめでとうございます!
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
2022年は、新型コロナウイルス感染症やウクライナ侵攻によって、 世界中の人々の健康や経済が大きく変化した年でした。
そんな中でも、私たちにはアロガがあるという安心感がありました!
健やかな健康と経済を実現できるツールを持っているから!
「選ばれた人が生き残るのではなく、アロガを選んだ人が生き残る」
このチャンスを、知識を、生かすのも生かさないのも私たち次第ですね。
2023年も一緒にアロガを広めていきましょう!
2018年から続けているAROGA NEWSは、お陰様で6年目に突入しました🎉
5年間のメルマガを【アロガの扉】<メルマガ>にまとめてみました😉

【147号】 2023-1-12
がんを考える①
昨年末に『ヒトはなぜ「がん」になるのか』という本を読みました。
がんに関して知らないことがたくさん書いてありました。
そして年を明けたら、NHKのヒューマニエンスQで「”がん”それは宿命との戦い」という番組をやっていました。
体が持つ制御機能の一端を映像で見ることができました。
そこで、現時点で得られた情報を何回かに分けてまとめておきたいと思います。
新年早々重たいテーマで恐縮ですが、お付き合いください😉
「がんの定義」は明確に定義されているわけではないようですが、上皮から基底膜を破って内部に浸潤した状態をがんとするそうです。
下図の②③は「上皮内がん」とか「上皮内新生物」といい、④⑤がいわゆる「がん」ということになります。
(筋腫や血液系のがんは非上皮細胞系のがんです)

基底膜を超えるか超えないかで大きく違うんですね。
では、上皮細胞が異常になったがんとは、どんながんなのでしょうか?

決して非上皮性のがんを稀とはいいませんが、上皮性がんの方が圧倒的に多いと思います。
異常になった上皮細胞をできるだけ早い段階で排除できたらいいのになぁと思いませんか?
次回は段階を追って可能性を考えてみたいと思います。
【148号】 2023-1-19
がんを考える②
がんを患った人は「なぜ自分が?」と思うことでしょう。
がんは、ヒトのみならず細胞が集まって生命体を作っている多細胞生物の宿命です。
誰が患ってもおかしくない病気だからこそ、根本を知り、予防する道を探っていきたいと思います。
多細胞生物の宿命とは、増殖とコントロールです。
ヒトは1つの受精卵から37兆個もの細胞に増殖していきます。
みんな同じ遺伝子を持っているにもかかわらず、組織や臓器を作り、特定の仕事をするように分化します。
有限の栄養や酸素、さまざまな刺激に対応しながら細胞の集合体が生命体になるには、それぞれの細胞はコントロール下に置かれます。
それには守らなければならないルールがあります。

5つのルールを潤滑に遂行するために、何億年もの時間をかけて仕組みを整えてきました。
細胞は隣の細胞と接触すると増殖が止まるようになっています。
これをコンタクト・インヒビションといいます。
増殖し続けたら、組織や臓器の形状を保てなくなりますからね。
細胞表面では受容体で情報をキャッチしたり、また、固有の情報を産生して他の細胞へと伝えます。
細胞の中では無数の情報伝達経路を動かして、決められた仕事を遂行します。
口から入る栄養、鼻から入る酸素は、有限の資源です。
栄養不足になった時の一時的なバックアップ機能を備えてはいるものの、浪費はいけません。
酸素は途切れたらおしまいですね。
老廃物が出れば、体外に排出するか体内で分解して自分で始末します。
もし始末できなければ、ごみや毒が溜まってしまいます。
細胞の中のクリーンアップは、2016年に大隅教授がノーベル賞医学生理学賞を受賞した「オートファジー」です。
最後に、これらのルールを守れなくなった細胞は、体の構成要員として不適切と判断され死にます。
細胞の自死「アポトーシス」もまた、2002年にノーベル賞医学生理学賞を受賞した、細胞の基本中の基本機能です。
この5つのルールをすべて破っているのががん細胞です。
「アポトーシス」はがん細胞を大きくさせないための強力な防御策ですが、アポトーシスが動かなくなるような遺伝子変異を起こすとがんは大きくなっていきます。
がんを知るには遺伝子変異を知る必要がありそうです。。。
【149号】 2023-1-31
ビル・マカナリー博士逝去
大変悲しいお知らせをしなければなりません。
1月25日(日本時間26日)ビル・マカナリー博士が心不全のため他界されました。
78歳でした。
学生時代から人生の幕を閉じるまで、一貫して人の役に立つ研究を続けてこられました。
植物が持つ自然のチカラを健康に生かす研究は、他に類を見ない素晴らしいものです。
・アロエの潜在能力を追求してアセマンナンを発見し、精製法を確立、活性や作用機序などの研究を含め300以上の特許を取得しました。
・アセマンナンを含む多糖類が糖鎖の構成成分であることに気づき、新しい栄養概念「糖質栄養素」を提唱しました。
・数々のアロエ成分を使った製品を開発し、何百万人という人々の健康に寄与しました。
・オピオイドクライシス(薬害危機)解決のため、アロエの知識を生かして口腔ケア製品を開発、メディカル・デバイスとして医療分野で使われています。
・植物研究はアロエに留まらず、世界中の薬用植物を調査し、細胞の基本機能「アポトーシス」をサポートする製品群を開発しました。
まだまだ元気に活躍してくださるものと思っていましたが、私たちに十分な研究成果と製品を残してくれたと感謝しています。

日本のリーダーが「アロガのグリクマーリ(アロエ)はこういうものだ!」という説明をして欲しいという要望を出したそうで、この文章が結果的にマカナリー博士の最後の仕事になりました。
アロガのアロエは、アロエベラ(Aloe barbadensis Miller plant)の透明なジェルをフリーズドライすることによって製造されます。 したがって、透明なジェルに含まれるすべての成分が含まれています。
透明なジェルには、少量の糖タンパク質、アミノ酸、ビタミン、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルが含まれています。 また、マンノース、グルコース、ガラクトース、フルクトース、キシロース、アラビノース、ラムノース、ウロン酸など、いくつかの糖も含まれています。
タンパク質の大部分は糖タンパク質であり、適切に機能するにはさまざまな糖が結合している必要があります. したがって、アロエはこれらの糖の多種多様を提供します。
おそらく、透明なジェルの最も重要な成分は、アセマンナンとも呼ばれるポリアセチル化マンナンです。 アセマンナンは、アセマンナン鎖に沿ってガラクトース、グルコース、フコースなどの少量の糖を含むベータ結合マンノースモノマー(モノマー:単量体)で構成されています。透明なジェルに含まれる他の成分がアセマンナンと相まって強力な製品となります。
他のアロエ製品とは対照的に、アロガのアロエには、自然界に存在する様々なサイズのアセマンナン分子が含まれています。したがって、体は特定のニーズに最も適したサイズを選択できます。たとえば、大きなアセマンナンの分子はマクロファージを刺激するのに必要です。小さなモノマーは、この重要な免疫細胞に直接影響を与えません。
アセマンナンはベータ結合されているため、消化中に分解されません。そのため、ほとんどのアセマンナンはそのままの形でのこり、マクロファージや樹状細胞など、腸を覆う膨大な数の免疫細胞と直接的に相互作用し、免疫調節の活性化にチカラを発揮します。
しかし、小腸と結腸の下部にある特定の細菌は、アセマンナンをその構成要素に分解し、そこで血流に吸収されます. 次に個々のマンノースモノマーはマンノース-6-リン酸にリン酸化されます。これは細胞間コミュニケーションに関与する無数のサイトカインの産生および活性のためのエネルギーを提供するために必要です。
サイトカインは主に免疫細胞によって産生されますが、内皮細胞、上皮細胞、および結合組織によっても産生されます。サイトカインは、適切な免疫応答、組織損傷の修復、および細胞複製とアポトーシスの制御に必要です。
つまり要約するとアロガのアロエは、幾つかの糖を含む多くの重要な栄養素を提供しています。その最も重要な糖はアセマンナンであり、細胞間のコミュニケーション、そして全身の組織や臓器のさまざまな機能をサポートします。
「ビル・マカナリー博士の『人々をより健康に。健やかで豊かな人生を』という遺志を、アロガファミリーの皆様から多くの人に伝えて欲しい」と、シェイン・マカナリーCEOは言っているそうです。
ビル・マナカリー博士のご冥福をお祈りします
【150号】 2023-2-6
がんを考える③
遺伝子変異の話をする上で、ゲノム、染色体、DNA、遺伝子を整理しておきましょう。

細胞の中にある核には染色体が格納されています。
ゲノムとは染色体全部のことを示します。
染色体は、二重らせん構造のDNAがギュ~っと折り畳まれています。
人間は23対の染色体があります。
そのうちのひとつ、性染色体は女性がXX、男性がXYですね。
DNAを伸ばしてみると塩基が向かい合って結合していることがわかります。
A(アデニン)はT(チミン)と、C(シトシン)はG(グアニン)と対になります。
人間は約30憶塩基対あることがわかっています。
その中でタンパク質を作る情報を持つ配列を遺伝子と呼びます。
遺伝子はゲノム全体の2%にも満たないことがわかり、衝撃を受けました。
残りの部分は「ジャンクDNA」専門的には「非コードDNA」と呼びます。
非コードDNAはタンパク質を作る情報をもたないDNAですが、この中には遺伝子のオン・オフを担うコントロールスイッチや、細胞分裂のときに染色体の数や長さをそろえるのに必要な構造部品などが含まれているそうです。

がんは遺伝子が変異することで起こる病気です。
遺伝子変異がもっとも起こりやすいのは細胞分裂の時。
二重らせんが一度解かれて、DNAを複製する時にエラーが生じます。
また、細胞内の活性酸素によるダメージも大きな要因です。
さらに、化学物質や活性酸素など、遺伝子変異を起こしやすいリスク要因はいくつもあります。
しかし、細胞にはDNA修復機能が備わっていることはもとより、タンパク質を作るための遺伝子はゲノム全体の約2%、おそらく非コードDNAに変異が起こっても影響ないことを考えると、「遺伝子」に変異が起こって問題になる確率はどれくらいなのでしょうか?
正常(と思われる)細胞とがん細胞を比較した研究によって、イメージとはちょっと違った風景が見えてきました。
その風景は次回に。
【151号】 2023-2-19
がんを考える④
がん化と聞いてどんな絵を思い浮かべますか?

正常細胞に遺伝子変異が起こり、がん化して大きくなっていく。。。
実はそんな簡単な話ではなさそうです。
もうひとつの図を見てください。
これはScience(Science. 2018 Nov 23; 362(6417): 911–917.)に掲載された「体細胞変異クローンが加齢とともにヒトの食道にコロニーを形成する」という論文の図です。
男女・喫煙/非喫煙・年齢別の9人の食道の細胞の遺伝子変異を解析したところ、
・加齢によって遺伝子変異が蓄積されていく
・わずかな面積の中でもさまざまな遺伝子変異が起こっている多種多様なコロニーが形成されている
・健康と思われる細胞でも、がん化につながる変異があるものがある
などがわかったというもの。

細胞は、がん化する・しないにかかわらず、加齢という一点だけで遺伝子変異が蓄積しているのです。
では遺伝子変異は年齢に比例して多くなっていくのでしょうか。
実は変異のピークは発生期から成長期、つまり細胞が増殖して体が大きくなっていくときに複製エラーが生じやすく、70歳時点で保有する変異の半分は18歳までに得てしまっていると言われています。
え?もう間に合わないじゃない!
そんなことはないと思います。
日々の生活の中で、
・さらなる遺伝子変異を引き起こすようなリスク因子を減らすこと
・がん細胞が自死する環境を常に整えておくこと
・がん細胞の周りの細胞の状態も整えておくこと
遺伝子に異常が起こったとき、細胞たちが健康を保つために何をしているのかを知ることで、がん予防のヒントが見つかると思っています。
【152号】 2023-3-10
がんを考える⑤
前回、正常に見える細胞でも多種多様な遺伝子変異が起こっているという話をしました。
当然ながら、がん化した細胞も一律の遺伝子変異ではなく、多種多様な変異が混在しています。
しかし、抗がん剤はある一部の変異に対して開発しているため、すべてのがん細胞に対応できるものではありません。
キャット・アーニー著『ヒトはなぜ「がん」になるのか』には面白い例えが書いてあります。
あるがんの中でメジャーなグループを〇〇会系✕✕組としましょう。
このグループを制圧するために開発した抗がん剤を投与したところ、見事にがんは縮小しました。見かけ上、治療は成功です。
しかし、このグループの脇にいた半グレたちは、抗がん剤の作用機序とは別の変異を持っています。
メジャーなグループがいなくなった今、半グレたちは勢力を伸ばし大きなグループへと成長しました。
最悪なことは、投与した抗がん剤に耐性を持ち、転移能も獲得していることです。
これが、抗がん剤治療をしても再発が起こる一因だというのです。

今までは、遺伝子が変異しているところをデータベース化し、抗がん治療に生かそうという研究が主流でした。
しかし、ひとつのがんでも変異は多種多様であることが分かった今、治療そのものの考え方をアップデートする時期にきています。
上記の例は、実生活に照らし合わせてみると面白いほどよく似ています。
✕✕組や半グレの人たちは、なぜこのような生活になったのでしょうか?
育った家庭や環境の問題でしょうか?
周りの社会はどのように関わっていけるのでしょうか?
体の中に落とし込んでみましょう。
・ひとりひとり(細胞ひとつひとつ)
・集団形成(がんへの成長過程)
・その集団を取り巻く地域社会(細胞間マトリックス、免疫システム)
これらを整えていくことで、予防や治癒につなげていく道を探っていきたいと思います。
【153号】 2023-3-23
がんを考える⑥
前回は、がん細胞の社会を実社会に照らし合わせてみました。
① ひとりひとり(細胞ひとつひとつ)
② 集団形成(がんへの成長過程)
③ その集団を取り巻く地域社会(細胞間マトリックス、免疫システム)
①から③にかけて規模が大きくなっていくのはお分かりでしょう。
関係者が多くなればなるほど対策は複雑になっていきます。
予防や治癒を考えるならまず①からだということです。
細胞にはアポトーシスという自ら死ぬ装置が備わっています。
このシステムは、細胞が健康な状態を保つための基本機能です。
細胞が傷ついたり病気になったとき、そのまま体の中に存在し続けることがないように遺伝子に組み込まれている機能です。
正常な細胞ががん細胞へと悪化していくには
1.がん遺伝子が変異して活性化する
なおかつ
2.がん抑制遺伝子が変異してがん化を止められなくなる
の両方が起こらないと成立しません。
がん抑制遺伝子が正常に働いている限り、細胞死/DNA修復/細胞増殖抑制が働き、がん化への道は進みません。
アポトーシスが正常に働く生活を毎日送ることは、がん化を未然に防ぐ最初のステップであり、強力な予防法なのです。

とはいっても、日本のがん罹患率、そして死亡率をみると、決してがん化を未然に防ぐことは簡単ではないようです。
染色体全体の約2%しかない遺伝子の中の、さらにがん遺伝子とがん抑制遺伝子の両方に変異が起こる確率は計算上さほど高くないと言われているにもかかわらずです。

がん化した細胞が増えていったとき、もう成す術はないのでしょうか?
次回は②集団形成(がんへの成長過程)からがん予防の可能性を探りたいと思います。
【154号】 2023-4-6
がんを考える⑦
がん細胞の社会を実社会に照らし合わせて
① ひとりひとり(細胞ひとつひとつ)
② 集団形成(がんへの成長過程)
③ その集団を取り巻く地域社会(細胞間マトリックス、免疫システム)
に沿って話を進めています。
今回は②の集団形成(がんへの成長過程)について考えてみます。

がん細胞の増殖パターンを表す図としてGompertz増殖モデルが有名です。
図で見るように健診で発見されるがんは、億単位の細胞数になっています。
予防を考える上では、できるだけ数が少ない段階で排除したいですよね。
がん細胞がひとつできたらアポトーシスで除去するのが理想ですが、それしか手はないのでしょうか?
正常細胞とがん細胞の決定的な違いは、限られたスペースにおいて細胞増殖が止まるかどうかです。
例えば、シャーレ(細胞培養容器)で正常細胞を増殖させると1層になったところで増殖が止まります。
これは、細胞同士が触れ合うことが情報となって増殖が止まるようにプログラムされているからです。
がん細胞の場合は、他の細胞の上へモコモコとお構いなく増殖を繰り返します。
この図はヒューマニエンスQ「”がん”それは宿命との戦い」で映し出された画像です。
正常細胞と(矢印で示した)がん細胞を一緒に培養したものです。
さて、どちらの細胞が勝つでしょうか?
細胞には細胞競合という仕組みがあります。
細胞群の中に不良細胞がいる場合、周りの細胞がそれを感知して排除する仕組みです。
免疫細胞が出動するまでもなく、周りの細胞が協力し合って恒常性を保つのです。
この図の場合、モコモコと増殖しようとしているがん細胞を、周りの細胞がグイグイ押し込んで、まるでニキビを押し出すようにポンと排除したのです。

ヒューマニエンスQに出演した京都大学大学院医学研究科・医学部の藤田教授は、「細胞競合には細胞間コミュニケーションが大事だ」と言っていました。
細胞同士の物理的な結合力はもちろんのこと、周りの細胞とやり取りするホルモンやサイトカインなどの情報伝達物質の分泌や、それを受け取る受容体の発現などが正常に行われることが必要になります。
実社会で考えてみましょう。
地域の安全を守るのは警察だけでしょうか?
お隣同士や町内会が友好的・協力的な地域だと、犯罪は起こりにくくなりますよね。
家庭や学校、会社でも同じことです。
がん予防は、免疫システム(警察)に頼るだけではありません。
周りの細胞(地域社会)の協力がとても大事なんです。
【155号】 2023-4-24
がんを考える⑧終
がん細胞の社会を実社会に照らし合わせて
① ひとりひとり(細胞ひとつひとつ)
② 集団形成(がんへの成長過程)
③ その集団を取り巻く地域社会(細胞間マトリックス、免疫システム)
に沿って話を進めてきました。
最後に③のがんを取り巻く地域社会について考えてみます。
「がん」と聞くとまず思い浮かべるのが免疫です。
免疫は、体の中の自己と他を認識して排除する、健康にとってなくてはならない機能です。
がん細胞は、自分の細胞でありながら異物になった細胞なので排除する対象になります。
がん細胞を「殺す」役割を担うのが細胞傷害性T細胞(CTL)。(図左)
CTLは”手”を伸ばしてがん細胞を認識し、”死のシグナル”を送ります。(図中央)
”死のシグナル”を受け取るとアポトーシスのスイッチが入り、自死します。
アポトーシスのスイッチが入ったがん細胞は、小さな泡状に変化し(図右)、マクロファージが消化して除去します。

このように、免疫はがん細胞を攻撃する能力を持っていますが、がん細胞は刻々と形質が変化し、免疫から逃れる術を手に入れていきます。
がん細胞を取り巻く環境も、加齢や炎症などの影響でバリアが緩くなり、がんの増殖や転移を許すようになってしまいます。
がんの最大のリスクは加齢です。
遺伝子変異が蓄積されていくからです。
がんになるリスクを誰もが抱えているのに、がん研究も患者になる私たちも、がんになってからのことしか考えてきませんでした。
がんになってからではなく、がんの発生を抑制できている若いころから予防を心がけることが大切ではないでしょうか。
『ヒトはなぜ「がん」になるのか』から、今後のヒントになる一節を紹介します。
がんの慈善事業団体が開いているウェブサイトなどを見に行けば、たいていお決まりの予防アドバイスが載っている。
禁煙する、日焼けに注意する、健康的な体重を維持する、飲酒量を減らす、食物繊維を多くとって牛肉や羊肉などを減らす、適度な運動をする。
こうした行動はすべて、がんのリスク低減との関係性が見出されてはいるものの、私たちは実際のところ「なぜ」そうなのかを知らない。
そろそろ、健康産業がつぎつぎ繰り出す疑似科学に対抗して、食事法や運動法、サプリメントが細胞レベルでの健康にどれだけ影響しているのかを科学的に研究すべきときが来ていると思う。
特定の食品やサプリメントが「免疫力を上げる」というような中身のない話ではなく、体内の炎症を起こしやすい環境をコントロールするのが可能なのかどうか、それを安全に実行するにはどうすればいいのか、といったことをきちんと語れるようになりたいものだ。
アロガは「細胞は健康になるようにできている」と考えています。
細胞ひとつひとつに備わっているアポトーシスとオートファジーをサポートすることで、37兆個の細胞が正しく生き、正しく死に、正しく入れ替わり、健康を維持できると考えています。
配合している植物は、伝統医学で使い続けられている薬用植物です。
伝統医学は対処療法ではなく、体のバランスを整えることで自らが健康になるようにサポートする医学です。
最新科学によって「なぜ健康になるようにサポートできるのか」が明らかにされつつあります。
日本は医療費が右肩上がりです。
日本はがんの死亡率が右肩上がりのままです。
将来に向けて、肉体の、経済の、精神の負担を少しでも減らしていくことは急務です。
病気ではなく健康のことを、治療ではなく予防のことを、アロガなら語れるのではないでしょうか?
【156号】 2023-5-20
免疫について①
がんに続き、免疫について考えてみます。
免疫というと、自然免疫と獲得免疫の二つを思い浮かべます。
自然免疫は、外から侵入してきた病原体に対する防御反応の最前線。
獲得免疫は、病原体の特徴を捉えて抗体を作るとともに、特定の病原体を認識して攻撃するT細胞を増産して集中攻撃します。
そして、次に同じ病原体が侵入したときのために、病原体の特徴を記憶しておきます。
現在は、自然免疫にも記憶する機能が備わっていることがわかり、免疫記憶と呼ばれています。

外界と接している体の部位は・・・
・最大の臓器である皮膚
・食べ物を取り入れる口腔
・食べ物を消化する消化器官
その他、鼻や耳、呼吸器、生殖器などもあります。

近年、微生物叢を解析する技術が急速に進歩することで、
・外界に接している所にはもれなく常在菌が生息していること
・その数はヒトの体細胞をはるかに超えること
・常在菌との共同作業で健康は保たれていること
がわかってきました。
そして、免疫系は、腸管免疫、口腔免疫、皮膚免疫を含めた概念になってきています。
【157号】 2023-6-3
免疫について②
前回、免疫系は腸管免疫、口腔免疫、皮膚免疫を含めた概念になってきたと書きました。
この概念の中心には腸があります。
腸は体の中でも一番常在菌が生息している臓器であり、それに合わせて免疫細胞が集結している臓器でもあります。
腸の状態が全身の健康状態に影響する、逆に他の臓器の状態が腸に影響するという双方向の関係性がわかってきました。

すでに腸と脳との間に関係性があるのは良く知られていて、腸・脳軸とか腸脳相関と言われます。
同じように、腸と皮膚の関係を腸・皮膚軸、肺との関係が腸・肺軸です。
この図にはありませんが、口腔(特に歯周病)と全身の関係を口腔全身結合ルートといいます。
さらには、腸の状態が心臓病や代謝にも影響します。
腸と腸内細菌の状態が免疫系のアンバランス、さまざまな有益な代謝物の産生、さまざまな有毒な物質の産生を通して、一見遠く離れて関係ないように思える臓器に影響を及ぼすのです。
これからも健康を維持していきたい、体調を戻していきたい、どちらもまず腸に注目してみませんか?
【158号】 2023-6-15
免疫について③
前回、腸と腸内細菌の状態が全身の健康に影響すると書きました。
医学の父ヒポクラテスの言葉
すべての病気は腸からはじまる
腸内細菌の存在も、腸管の構造も、何も分かっていなかった時代に、ヒトを観察することで腸の重要性を認識していたのはすごいことです。

一言で腸と言っても、いくつかの重要なファクターがあります。
大きく分けると、上図のようになります。
1.腸内環境因子(食餌成分や腸内細菌)
2.消化管上皮
3.腸管免疫系
それぞれがお互いに影響しあいながら、腸の状態を維持しています。
免疫を考える上で、直接的なファクターは腸管免疫細胞群ですが、脳で意識してコントロールできるものではありません(ストレスによる脳の変化が腸に影響することはありますが)。
腸内環境因子や腸管の状態が、結果として腸管免疫の働きを左右します。
つまり、全身の免疫系に大きく影響を及ぼす腸管免疫の健康は、腸内環境や腸管の状態に委ねられているということです。
幸いなのは、腸にもっとも直接的に関与する因子が食べ物であるということです。
どんな食べ物を腸に流すかによって、腸管免疫はコントロールできるものになります。
【159号】 2023-7-15
グリクマーリについて
免疫を考えるシリーズの途中ですが、腸管免疫や腸管の状態に関係する食べ物のひとつとして古来から親しまれているアロエベラについて復習しておきたいと思います。
アロエの成分で知られているものには、多糖類、糖タンパク質(レクチン)、アントラキノンなどがあります。
多糖類で最もよく研究されているのがアセマンナン。
その他にも、グルコマンナン、ガラクトガラクトラン、グルコガラクトマンナンといった多くの種類の多糖類があります。
糖タンパク質ではアロクチンA、その他にレクチンもあります。
アントラキノンでは、アロエシン、アロエエモジン、アロインがよく知られています。
アロエベラ葉内ジェルは99%が水分、残り1%に上記のようなさまざまな多糖類や糖タンパク質、さらにビタミンやミネラルが含まれています。
ここに挙げた分子は、大なり小なり健康に寄与する成分として研究されています。

ビル・マナカリー博士は、葉内ジェルに0.1%程度しか含まれていないアセマンナンを分離し、発表しました(1993年)
マカナリー博士が当初発表したのは、平均分子量80KDa(キロダルトン)のアセマンナン、その後、キャリントン研究所で開発した注射剤《CARN750》は平均分子量1000KDaでした。
今現在に至るまで、他の研究者たちがアロエ成分の生物活性を報告していますが、アセマンナンに関しては非常に大きな分子量のものから数十キロダルトンのものまであり、それぞれが健康に寄与することがわかっています。
また、アセマンナン以外の多糖類や他の活性物質も供給できるようになっています。
そもそもヒトは、さまざまな腸内細菌のチカラを借りてアロエベラ多糖類を分解し利用することを考えると、異なる分子量のアセマンナンを、もっと言えば多種類の多糖類を供給することは理にかなっているように思えます。
さらに、アロエベラという植物が持つチカラを最大限に取り入れるにはアセマンナンだけに固執していては勿体ないのです。
そこで、アロガのグリクマーリはアセマンナンのみならず、他の成分もすべて網羅できるように配合してあります。
以下、英語版アロガHPの和訳です。
アロガ社のアロエ(日本製品はグリクマーリ)は、フリーズドライのアロエベラ透明ゲルを独自にブレンドしたもので、糖タンパク質、アミノ酸、ビタミン、ミネラルなど、アロエ植物の透明ゲルに含まれるすべての成分を含んでいます。 また、細胞間コミュニケーションなど、さまざまな細胞プロセスに重要な糖類も含まれています。
さらに、市販されている他のアロエ製品とは異なり、アロガ社のアロエには、自然界に存在する幅広い種類のポリアセチル化マンナン(別名アセマンナン)が含まれているため、特定の働きに必要な大きさのアセマンナン分子を体内に確実に取り込むことができます。以上のことから、アロガ社のアロエは市場で最もパワフルなアロエ製品といえます。
大きなアセマンナン分子は、腸内の免疫細胞(免疫システムの70~80%が集まっている)に直接取り込まれ、大きなアセマンナン分子によってのみ刺激され、処理されて、全身の免疫システムのさまざまな重要な機能をサポートします。
下部消化管に到達したアセマンナン分子は、ある種の細菌によってその構成部分まで分解され、血流に吸収されます。 そして、個々のマンノース単量体はリン酸化されてマンノース-6-リン酸となり、適切な免疫反応、組織損傷修復、細胞間コミュニケーション、細胞複製とアポトーシスの制御に必要な無数のサイトカインの産生と活性に必要なエネルギーを供給します。
アロエに含まれるアセマンナンは、小分子、中分子、大分子とあり、さまざまな細胞ですぐに利用できるほか、時間をかけてマンノースに分解されるため、一日を通して体内にこの重要な分子を供給し続けることができます。
マカナリー博士は、自身が発見した当初の知識だけでなく、その後の研究成果を盛り込んでアロエ製品を作りました。
【160号】 2023-8-13
免疫について④
医学の父ヒポクラテスの言葉
すべての病気は腸からはじまる
腸にやってくる食べ物を待っているのは、腸内細菌はもちろんのこと、免疫細胞も待っています。
病原体の侵入に対していち早く反応する免疫細胞が、強く早く動き出してくれるかどうかは日頃の食べ物にかかっています。

免疫細胞の中でも最前線で応答するのが食細胞。
食細胞には、好中球、単球、マクロファージがあります。
特にマクロファージは抗原提示細胞としても機能するので、病原体を食べて処理するだけでなく、獲得免疫系との調節も担っています。
このマクロファージ機能を調節できる食べ物が、植物に含まれる多糖類!
なぜって?
マクロファージの細胞表面には、多糖類を認識する受容体がいくつもあるからなんです。

さまざまな糖で構成されている、さまざまな多糖類をマクロファージはパターン認識して結合します。
平たく言えば、ザクっと認識します(笑)
細菌、真菌、ウイルスなどの表面にも糖鎖があるので、これを認識して、侵入してきたらとりあえず「だ捕して食べる」のです。
食べるということは、細胞の中に情報が伝わり、活性化されるということ。
マクロファージが活性化すると、免疫調節作用、抗腫瘍作用、創傷治癒作用、造血作用、放射線防護作用、抗潰瘍作用、抗動脈硬化作用など、驚くほどの働きをもたらすことがわかっています。
マクロファージが認識する多糖や糖タンパク質はたくさんあります。
食べ物で言えば、βグルカンやフコイダン、マンナンなどが有名です。
病原体ではない多糖類は、マクロファージの栄養となり、また微かに刺激を与えることでアイドリング状態を維持します。
病原体が侵入したときには素早く排除に向かい、また傷を治すために素早く傷口に向かい、正しい炎症をコントロールすることで治癒を促します。
炎症がコントロールできずに慢性炎症になると、慢性疾患の引き金になります。
今、問題になっている大部分の疾病は、慢性炎症が引き金になっています。
感染予防だけでなく、疾病予防にも、マクロファージはとても大事。
マクロファージが認識する多糖類を日々食べることが大事なんです。
【161号】 2023-8-31
ヒューマニエンス「“免疫” 曖昧な“わたし”をめぐるドラマ」
NHKで放送している『ヒューマニエンス 40億年のたくらみ』
今回は制御性T細胞(Tレグ)を軸に展開した免疫の話でした。
再放送はBSプレミアム/BS4Kで、8月31日(木)午後11時からと、9月6日(水)午後5時からです。
免疫は、自己と非自己を区別するのが大前提です。
これを自然免疫といいます。
病原体そのものを退治するのも、病原体に冒された細胞を除去するのも、自己と非自己がきちんと区別されているからです。
でも、食べ物は異物ですか?
半分がパートナーの遺伝子を持つ胎児は異物ですか?
自然免疫だけで考えたら異物です。
そこで、色々なものを体に取り入れて利用し、種の保存をするために発達させたのが獲得免疫。
樹状細胞から情報を受け取ったヘルパーT細胞は、許すのか許さないのかを判断します。
許さない場合に出動するのが、キラーT細胞。
パーフォリンなどのタンパク質を細胞に注入してアポトーシスを促します。
許す場合にコントロールするのが、制御性T細胞です。
不必要な攻撃をしかけないように、免疫系をコントロールします。
もし制御性T細胞のコントロールが効かなくなったら。。。
自己免疫疾患やアレルギーなど、多くの疾患の原因でもあり、解決の糸口とも考えられています。
詳しい内容は、ぜひ再放送をご覧ください!

【162号】 2023-9-13
アセマンナン最新情報①
ビル・マナカリー博士がキャリントン研究所において、アロエベラから活性物質を単離・同定・安定化し、アセマンナンと命名して以降、現在に至るまでアセマンナンはさまざまな研究対象に使われています。
すでに、口腔疾患、全身の代謝性疾患、循環器系疾患、良性・悪性腫瘍など、様々な疾患を治療することがわかっています。
アセマンナンは、多方面で薬効をもつ、生分解性・生体適合性に優れた天然多糖類であることから、バイオマテリアルへの応用が期待されています。
バイオマテリアルとは、医療分野で使われる生体材料で、血液適合や組織適合、免疫性に優れ、人体組織に悪影響を及ぼさないことが求められます。
アセマンナンを組み込んだスポンジやゲル、人工膜を使って、主に骨組織再生、歯髄象牙質複合体再生、軟組織修復などに応用されており、より広範囲に応用されることが期待されています。
下図は、アセマンナンの特性をまとめたものです。
こんな素晴らしい天然多糖類を手軽に毎日摂取できるのは、アセマンナンの生みの親、ビル・マカナリー博士が創業したアロガならではですね。

【163号】 2023-10-1
アセマンナン最新情報②
「アロエベラは体に良いらしい」と思って生活に取り入れる人は多いと思います。
その中で、どれくらいの人がアロエベラの活性成分はアセマンナンであることを知っているでしょうか?
そして、アセマンナンにはアセチル基が修飾されていて、精製工程などでアセチル基が外れてしまうことがあるのを知っていますか?
さらには、アセチル基が外れたアセマンナンの薬効は下がってしまうことを知っていますか?
健康志向の高まりに従って、アロエベラジェルをベースにした飲料の売り上げが上がっているそうです。
確かに市場を見ると、アロエジュースが溢れています。
でも、そのジュース、期待する働きを持っていますか?
そんな疑問に答えを出す論文が発表されましたのでご紹介します。
詳細はブログに書きましたので、ちょっと覗いてみてください😊

研究に使われたのは、アロエベラジェルを30~80%含むとラベルに書いてあり香料を添加しているフレーバー飲料(No.1~7)と、アロエベラジェルを99%以上含むとラベルに書いてある無香料飲料(No.8~15)。
一目瞭然、フレーバー飲料にはほとんどアセマンナンが入っていないことがわかります😮
無香料でもアセマンナン含量には大きなばらつきがあります。
さて、アセマンナンだけでなく、アセチル基はどうなっているのでしょう?
続きはブログを覗いてみてくださいね😉
【164号】 2023-10-17
マクロファージ活性化①
テレビネタではありますが、先週放送の『カズレーザーと学ぶ』で、LPSを取り上げていました。
グラム陰性細菌が持つLPSを体内に取り入れることで、アレルギー、美肌、認知症、感染症、がん、糖尿病などの免疫に働きかけるという内容でした。
テレビの内容を紐解きつつ、何回かに分けてアセマンナンのマクロファージ活性化作用まで考察していこうと思います。
まず、LPSとは何か?から始めましょう。
LPSとは、Lipo Poly Saccharide(リポ多糖)のことです。
絵のようにグラム陰性細菌の細胞表面に露出している糖脂質です。
比較的古くから知られていて、私も試験管内実験(in vitro)のpositive control(陽性対照)として使っていました。
土のある生活環境に住んでいると、知らず知らずのうちにグラム陰性細菌と接していますが、都会に住んでいるとその機会が少なくなっているといいます。


外から侵入した異物を最初に迎え撃つのは、自然免疫です。
好中球やマクロファージといった免疫細胞が、異物を食べることによって除去します。
マクロファージは食べるだけでなく、他の免疫細胞を呼び寄せて患部の回復を促します。
マクロファージは治癒能力に関係する免疫細胞であり、体の修復の指令を出す司令塔なんです。
マクロファージは、LPSを細菌の一部として認識します。
細菌そのものではないところがミソです😄
カズレーザーさんの言葉を借りれば「細菌が来るぞと匂わせておいて」、LPSはマクロファージを活性化します。
これは、細菌に見立てたビーズをマクロファージが貪食する様子です。
LPSで処理した前と後とでは、ビーズを取り込む量が違うことがわかります。
マクロファージを活性化することで、食べる能力や他の細胞を呼び寄せる能力が上がり、自然免疫が強化されるのです。

マクロファージは患部に集まってきて仕事をするわけですが、この動きは加齢によって遅くなります。
マクロファージを活性化するLPSは、口から摂取する方が良く、玄米やひらたけに多く含まれているということで番組は終了しました。
アセマンナンもマクロファージを活性化しますが、LPSと何が同じで何が違うのかは気になるところですね。(次回に続く)

【165号】 2023-11-1
マクロファージ活性化②
前回は、グラム陰性細菌の細胞表面にあるLPS(リポ多糖)が、マクロファージを活性化することで、治癒力や免疫力を助けるという内容でした。
LPSはどうやってマクロファージを活性化するのでしょうか?
マクロファージには、LPSが結合する受容体があります。
専門的にはTLR4(Toll Like Receptor 4)といいます。(図の青い丸)
TLRに番号がついていることからもわかるように、TLRには1~11まであります。
それぞれのTLR受容体に結合するもの(リガンドといいます)は、細菌や真菌の細胞表面にあるリポ多糖やリポタンパク質、ウイルスのRNAやDNAなどさまざまです。
ただし、病原体を細かく認識しているのではなく、ザクっと認識しています。
自然免疫では、「病原体に必ず存在し、かつ、自分(宿主)にないもの」という括りで広く認識する必要があるからです。
これをパターン認識といいます。
パターン認識については、以前ブログで紹介しました。

マクロファージは最前線で体を守る細胞ですから、病原体をパターンで認識する受容体は他にもあります。
C型レクチン受容体です。
C型レクチン受容体にも多くの種類があり、マンナン多糖類を認識する受容体がいくつもあります。
代表的なものがマンノース受容体(MR:図の赤い丸)です。
なぜ、マンナン多糖類を認識する必要があるのでしょうか?
私たちの細胞表面には糖鎖があります。
細菌、真菌、ウイルスなど病原体の細胞表面にも糖鎖があります。
ヒトの糖鎖末端はシアル酸やフコースであるのに対して、病原体の細胞表面にはマンノースが露出していることが多いのです。
例えば、これはインフルエンザウイルスとヒト免疫不全ウイルス(HIV)の表面にあるマンノースです。
病原体の表面にあるマンノースを認識することで、自然免疫はすばやく対応できるようになています。
より詳しい内容は、以前ブログで紹介しています。
マンナン多糖類はLPSと同じように「病原体が来ると匂わせて」マクロファージを活性化することができるのです。

【166号】 2023-11-15
マクロファージ活性化③
前回、前々回は、マクロファージを活性化する多糖について書きました。
マクロファージは、病原体の細胞表面にある糖鎖をザクっと認識し(パターン認識)します。
その糖鎖に似た多糖類、特にマンナン多糖類は効率的にマクロファージを活性化することができます。
さて、マクロファージといえば、病原体や細胞の死骸を食べて除去してくれる細胞というイメージですよね?
こちらのマクロファージは、古典的マクロファージ、M1と呼ばれます。
え?マクロファージは1種類ではないの?
そうなんです。マクロファージは、状況に応じて働きを変えることができます。
マクロファージはお掃除した後、組織の修復にも関係していて、こちらのマクロファージは、代替的マクロファージ、M2と呼ばれます。
マクロファージは多種多様な機能を持っていて、分類に関してはまだはっきりしていない状態のものもあるのですが、通常はM1とM2に分類されます。
M1マクロファージは炎症性、M2マクロファージは抗炎症性の表現型を持ちます。

炎症型のM1マクロファージは、第164号で紹介したリポ多糖(LPS)やインターフェロンγによって誘導され、炎症性サイトカインを分泌します。
そして、細菌やウイルス、がん細胞などを死滅させ、食べて処理します。
このようにM1マクロファージは、感染防御や抗がん作用を通じて、恒常性維持に関わっています。
しかし、過剰な免疫応答は慢性炎症や炎症性疾患につながるので、正常に制御されなければなりません。
逆に抗炎症性M2マクロファージは、全く違う刺激によって活性化され、感染などで傷ついた細胞を除去した後の創傷治癒や血管新生を誘導します。
このようにM2マクロファージは、臓器や組織を維持し、免疫のバランスを調節する働きをします。
しかし、M2マクロファージの中には、腫瘍の進行を促進する腫瘍関連マクロファージがあることが知られていて、マクロファージが持つさまざまな機能が、健康維持や疾病の治癒/悪化に深く関係していることがわかってきています。
マクロファージは、ただ単に活性化すればいいというものではなく、正しく制御された中でさまざまな機能を発揮できる状態にしておくことが重要なのです。
【167号】 2023-12-11
マクロファージ活性化④終
マクロファージは、病原体や細胞の死骸を食べて除去するときは炎症型の古典的マクロファージM1として働き、お掃除が終わった後は組織修復にも関与する代替的マクロファージM2に移行します。
M1マクロファージは、感染防御や抗がん作用を通じて、恒常性維持に関わっています。
しかし、過剰な免疫応答は慢性炎症や炎症性疾患につながるので、正常に制御されなければなりません。
一方で、抗炎症性M2マクロファージは、全く違う刺激によって活性化され、感染などで傷ついた細胞を除去した後の創傷治癒や血管新生を誘導し、臓器や組織の維持や免疫のバランスを調節する働きをします。
しかし、M2マクロファージの中には、腫瘍の進行を促進する腫瘍関連マクロファージがあることが知られていて、マクロファージが持つさまざまな機能が、健康維持や疾病の治癒/悪化に深く関係していることがわかってきています。

マクロファージが正しく機能するには、免疫細胞群やその細胞が分泌するサイトカイン/ケモカインといった情報伝達物質がセットになって役割を果たしています。
M1マクロファージからM2マクロファージに移行するには、セットごと変わらなければなりません。
そこで、マクロファージを正しく制御するモジュレーターとして抗炎症特性を持つファイトケミカルが注目されています。
耳に馴染みのあるファイトケミカルだけでも、ルペオール、レスベラトロール、アロエエモジン、ケルセチン、ケンフェロール、ナリンゲン、ダイゼニン、ゲニステイン、クルクミンエピガロカテキンガレート、フォルスコリンなど多数挙げられています。
パスウェイズ製品に配合されている植物はみな、抗炎症作用を持っています。
抗酸化作用、抗細菌・抗真菌・抗ウイルス作用、抗がん作用なども持っています。
細胞内外で機能している複雑な経路をコントロールするには、このような植物の力が大きな役割を果たしているのですね。
【168号】 2023-12-26
2023年を振り返って
2022年10月にビル・マナカリー博士夫妻が来日し、その余韻を味わっていましたが、大変残念なことに1月末、ビル・マナカリー博士の訃報が届きました。
改めてマカナリー博士の功績に思いを馳せ、感謝し、世代交代したアロガのさらなる発展を期待して2023年はスタートしました。
パスウェイズ製品ではラインナップの見直しが行われ、プラス1の廃版に伴いプラス2~5はそれぞれ、プラス ビージェイ、プラス ブレイナー、プラス オージャス、プラス カルディバになります。
また、グリクマーリはカプセルからパウダータイプに変更なりました。
ビジネス面では、登録パックの種類/内容/パックボーナスがより魅力的なものになり、2024年に向けての好材料になっています。
フィールドでは、BSシリーズを愛用してくださる方が増え、「使い心地がいい」「シミが薄くなった」「シワが減ってきた」「湿疹が治った」など嬉しい感想がぞくぞくと届いています。
また、毎日欠かさずに製品を食べ続けている方々から「今までで一番良い検査結果が出た」「体調が良くなった」という声をいただいています。
私たちの体は37兆個もの細胞で構成されていて、毎日数百億個ともいわれる細胞が入れ替わっています。
その中には、がん化した細胞や老化細胞が含まれていて、放っておけば病気の引き金になるリスクが高まります。
毎日、地道に、アポトーシスをサポートすることがリスクを下げる。。。これは机上の理論でしょうか?
いいえ、毎日きちんと食べ続けている方々が証明してくださっています。
ホール博士は「健康維持も、疾病予防も、病気からの回復も、必要な栄養素は一緒です」とお話しされています。
まさにその通りですね。
個人的には、アロガ製品の有用性を裏付ける科学的記述が多く入手できたことです。
2016年にアロガを始めてからずっと、製品に使われている植物の情報を集めてきましたが、細胞にどのように働きかけているのか、どんな作用を持っているのかをまとまった形で示すことができないでいました。
しかし、ここ2,3年で、植物が持つチカラを包括的に評価する論文が出てきました。
内容は今後も各セミナーなどでお伝えしていきますが、「汝の食を薬とし、汝の薬を食とせよ」という言葉の真髄が解明されてきたのだとワクワクしています。
アムラ:Molecular Mechanisms of Cancer Prevention by Gooseberry (Phyllanthus emblica)
カバノアナタケ:Inonotus obliquus – from folk medicine to clinical use
オオアザミ:Mechanistic Insights into the Pharmacological Significance of Silymarin
ツボクサ:Therapeutic properties and pharmacological activities of asiaticoside and madecassoside: A review
ヤマイモ:Diosgenin and Its Analogs: Potential Protective Agents Against Atherosclerosis
バコパ:Pharmacological attributes of Bacopa monnieri extract: Current updates and clinical manifestation
2024年もアロガの素晴らしさを広めていきましょう!
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