ウイルスのグリカンシールド
- AKIKO SAKAI
- 2020年5月1日
- 読了時間: 2分
更新日:2020年6月23日
グリカンシールドとは、ウイルスが糖鎖の洋服を着ているようなイメージで糖衣とも呼ばれます。
私はワクチンを作る仕事なんてしたことはないので、グリカンシールドに注目したことがなかったのですが、別の視点から興味を持つことになりました。
新型コロナウイルスのワクチンを作る研究において、グリカンシールドはカギを握っているようで、調べると面白いことがわかりました。
なぜ私がグリカンシールドに興味を持ったかと言えば、糖鎖のマンノース量で分類されていたから!
自然免疫ではマンノースが重要であることがわかっています。
自然免疫の司令塔マクロファージを活性化することはすでに立証済みですが、そもそも細菌やウイルスは細胞表面(グリカンシールド)にマンノースをたくさん持っているので、外敵の認識にもマンノースは重要な要素なのです。
上から、COVID-19、MERS、SARS、HIV。
この図は3論文からそれぞれ拝借し、左にTOPを右にSIDEが来るように並べ替えています。
https://www.southampton.ac.uk/news/2020/04/coronavirus-spike-glycan.page
https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2020.02.20.957472v1.full
https://www.annualreviews.org/doi/10.1146/annurev-biophys-060414-034156
グリカンシールドがオリゴマンノース量で色分けされています。
こうしてみると、ウイルスは高マンノース型のN型糖鎖が多いのがわかります。 通常、ヒトは糖鎖末端にマンノースを持つことがないので、外敵をマンノースで認識するのはひとつの手段として免疫システムに備わっています。
比較としてHIVが挙げられているのは、HIVは密なグリカンシールドを持っているから。
そして、オリゴマンノース量とグリカンシールド密度には相関があり、ウイルスの免疫回避力にも関係がありそうです!
図で✖印がついているウイルスは、免疫回避力が強いウイルス、●はコロナウイルス
このような情報も解析しながら、新型コロナウイルスのワクチンを作る研究は進められているのですね。
いずれ、新型コロナウイルスのワクチンができて、世の中は落ち着きを取り戻していくでしょう。
でも私は、自信と安心のために、今までもこれからも、自分に備わっている機能が正常に働くように、必要な栄養を積極的に摂取していこうと思います。
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