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アロエベラジュースの品質

アロエベラの活性成分アセマンナンに関しては、長年勉強もしてきたし、サプリメントとして取り入れてきたので、「液体の製品は品質的にどーなのよ?」とずっと思っていました。

今年ようやく、アロエベラジュースの品質に関する論文が出たので取り上げます。


研究の主旨はざくっとこんな感じ↓

アロエベラジェルは、その健康効果が報告されていることから、多くの食品、特に飲料に頻繁に使用されている成分である。

アロエベラは、火傷の治療、発熱の軽減、肝機能の改善、傷の治癒、抗糖尿および抗ウイルス特性の発揮、関節炎の予防、コレステロール値の低下、さまざまな腫瘍の予防または治療、免疫システムの促進など、さまざまな健康上の利点がある。

世界中の健康志向の高まりに伴い、植物由来の健康飲料の需要が高まっていて、アロエベラ飲料の世界市場は、2019年に7780万米ドル規模であり、2020年から2027年までの年間成長率は11.3%と予測されている。


研究により、アセマンナン部分的または完全にアセチル化されたマンノース単位を豊富に含む多糖であり、アロエベラの主要な生理活性化合物であることが分かっている。

アセマンナンは、主に一部アセチル化されたマンノース(60%以上)、グルコース(約20%)、ガラクトース(10%未満)から構成され、β-(1→4)マンノースの一本鎖にβ-(1→4)グルコースが挿入された構造をしている。さらに、α-(1 → 6)ガラクトース単位が側鎖として存在することもある。

アセチル基はアセマンナンに存在する唯一の非糖官能基であり、アロエベラジェルの物理化学的特性と生物活性の両方において重要な役割を果たしている


アロエベラジェルを含む飲料などの食品の有益な特性は、植物由来の生理活性化合物に起因しており、中でもアセマンナンが最も重要である。

これらの製品の生理活性は、アセマンナンの量だけでなく、そのアセチル化の程度によっても決定される可能性があり、これは品質の尺度として見ることができる。


よって、本研究の主な目的は、地方、国内、国際レベルでアロエベラ市場で有名なさまざまな製造業者、加工業者、食品流通業者から市販されているアロエベラジェルをベースとしたフレーバー飲料およびフレーバーなし飲料におけるアセマンナンの存在を評価することである。

この全般的な目的を達成するために、以下の具体的な目的を設定した:

(1)分析した各飲料中のアセマンナン量を測定すること。

(2)アセチル化度を測定することにより、各サンプル中のアセマンナンの生理活性を評価すること。

使用したアロエベラジュースは2つのグループに分かれています。

① ラベルによるとアロエベラジェルを30~80%含む、フレーバー飲料

② ラベルによるとアロエベラジェルを99%以上含むフレーバーなし飲料


論文にはいろいろなデータが載っていますが、ここでは3点に絞ってみていきます。

①アセマンナン量

②アセチル化の度合い

③品質と値段は合っているのか



【①アセマンナンの量】



サンプルNo.1~7は、アロエベラジェル30~80%と表示しているフレーバー飲料、No.8~15は、アロエベラジェル99%以上と表示しているフレーバーなし飲料。

それぞれに含まれるアセマンナン量を示した図です。


一目瞭然、フレーバー飲料には、アセマンナンがほとんど含まれていないことがわかります

アロエベラの生物活性化合物はアセマンナンなのですから、この時点でアセマンナンの効果は期待できません💦


99%以上アロエベラジェルを含むとしているフレーバーなし飲料は、No.10、11、13は高含量である一方、ほとんど含まれていないサンプルもあり、製品によってばらつきが大きいことがわかります。



【②アセチル化の度合い】

アセマンナンの活性には、アセチル化されているかどうかが大きなカギを握ります。

加工過程などで脱アセチル化(アセチル基が外れる)が起こると、アセマンナン自体は存在していても生物活性があるかどうかは別の話になってしまいます。



こちらも一目瞭然!

フレーバー飲料はほぼ脱アセチル化しています

アセマンナンは少ないし、脱アセチル化しているし、残念ながらフレーバーの元になっている味のジュースということですね。


フレーバーなし飲料は、フレーバー飲料に比べれば良いのですが、アセマンナン量が多かったNo.10とNo.11でも脱アセチル化していることがわかりました。

15サンプルのうち、アセマンナンの効果を期待できる製品はNo.13のみということになります。



【③品質と価格は合っているか】



最後に値段と品質の関係です。

左下は「安かろう悪かろう」タイプ、右上は「品質相応のお値段」ということでしょうか。

では高ければ安心かというとそうでもないのが、この業界の悲しいところです。


医薬品のように厳格な品質管理が義務付けられていない健康食品・飲料業界において、消費者が良い製品を選ぶのは本当に難しいなと、この論文を読むと痛感します。


アロエベラからアセマンナンを発見したビル・マカナリー博士は、アセマンナンを発見しただけでなく、安定化することでも特許を取得しました

つまり、アセマンナンは不安定なので、精製から製品化まで品質管理が欠かせない物質なのです。


一般的な話として、液体に溶けた物質は不安定です。

酸化防止剤や防腐剤も入れておかなければなりません。

清涼飲料水として選ぶのであれば構いませんが、アロエの薬効を期待して購入するのはリスクが高いと言わざるを得ないなと思いました。

もし、アセマンナンの薬効を日常に取り入れたいのであれば、アセマンナン量やアセチル化度合いを測るくらいの品質管理をしている製品を選びたいものです。


 
 
 

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