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がんを考える②

がんを患った人は「なぜ自分が?」と思うことでしょう。

がんは、ヒトのみならず細胞が集まって生命体を作っている多細胞生物の宿命です。

誰が患ってもおかしくない病気だからこそ、根本を知り、予防する道を探っていきたいと思います。

多細胞生物の宿命とは、増殖とコントロールです。

ヒトは1つの受精卵から37兆個もの細胞に増殖していきます。

みんな同じ遺伝子を持っているにもかかわらず、組織や臓器を作り、特定の仕事をするように分化します。

有限の栄養や酸素、さまざまな刺激に対応しながら細胞の集合体が生命体になるには、それぞれの細胞はコントロール下に置かれます。

それには守らなければならないルールがあります。

5つのルールを潤滑に遂行するために、何億年もの時間をかけて仕組みを整えてきました。

細胞は隣の細胞と接触すると増殖が止まるようになっています。

これをコンタクト・インヒビションといいます。

増殖し続けたら、組織や臓器の形状を保てなくなりますからね。

細胞表面では受容体で情報をキャッチしたり、また、固有の情報を産生して他の細胞へと伝えます。

細胞の中では無数の情報伝達経路を動かして、決められた仕事を遂行します。

口から入る栄養、鼻から入る酸素は、有限の資源です。

栄養不足になった時の一時的なバックアップ機能を備えてはいるものの、浪費はいけません。

酸素は途切れたらおしまいですね。

老廃物が出れば、体外に排出するか体内で分解して自分で始末します。

もし始末できなければ、ごみや毒が溜まってしまいます。

細胞の中のクリーンアップは、2016年に大隅教授がノーベル賞医学生理学賞を受賞した「オートファジー」です。

最後に、これらのルールを守れなくなった細胞は、体の構成要員として不適切と判断され死にます。

細胞の自死「アポトーシス」もまた、2002年にノーベル賞医学生理学賞を受賞した、細胞の基本中の基本機能です。

この5つのルールをすべて破っているのががん細胞です。

「アポトーシス」はがん細胞を大きくさせないための強力な防御策ですが、アポトーシスが動かなくなるような遺伝子変異を起こすとがんは大きくなっていきます。

次回からは遺伝子変異について考えてみたいと思います。

 
 
 

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